第169話
俺は神殿があるとされる山奥に来ていた。
メンバーはフトシパーティーとレンパーティー、レイカさん、科学者3人だけだ。
特級のみんなはハザマ狩りをしていて、いつもなら斥候をしてくれそうな冒険者はモンスターの出現情報を聞いて日本中を飛び回っている。
「学校をまた、休ませてしまったわね」
「今は有事、ですよね?」
「そうね、最近有事ばかりで困っているわ」
「あれ、あのパルテノン神殿みたいなの、あれですよね」
俺は走った。
「やっぱり! 神殿があった! RPGみたいですね!」
「フトシ君、すぐに配信を始めるわ。それとみんなは周りにモンスターがいないかチェックをお願いね」
「はい! 周りを一周してきます!」
「フトシ君は地面に石を敷いてコンテナハウスを出して欲しいわ」
「……はい」
コンテナハウスを設置すると中にはよく分からない機器が並び、科学者の3人は集中して仕事をしていた。
レイカさんは色んな人に電話をかけて配信カメラを設置していた。
みんな忙しそうだ。
……飽きて来た。
話しかけてみよう。
「OK! 神殿」
「こんにちわ、神殿です」
きれいな女性の声が聞こえた。
「おお! 声が聞こえる」
「フトシ君、専門家に任せましょう」
「いえ、話しかけ続けて大丈夫ですよ。準備に時間がかかりますし、配信の様子を教授たちがチェックしていますから。むしろどんどん話しかけてください」
「神殿、あなたの名前を教えてください」
「神殿で大丈夫ですよ」
「じゃあ神殿さんで、モンスターがどこに出るか分かりますか?」
「完全には無理ですが、分かる範囲でマップを表示可能です」
「ずっと出せる?」
「はい」
世界地図に無数のマーカーが出現した。
同じ神殿に見えても能力には癖があるらしい、日本の神殿さんは優秀みたいだ。
「神殿さん、日本だけの地図に拡大できる?」
「はい、すぐに実行します」
「おお、日本にハザマのマーカーが現れた! 北海道とか、地域ごとに分けて表示できる?」
「問題ありません」
それを見た科学者とレイカさんが忙しそうに動き出した。
「もしもし、カメラのスペアをお願いします、はい、はい、今すぐにです。最優先で。冒険者の護衛を常時追加します」
「配信用カメラを7つ追加します。常時マップを配信しますので検証をお願いします」
みんなが偵察から戻って来た。
「フトシ君、配信を見ましたか? 日本にもレギオンダンジョンが出来ました! アリの巣ダンジョンが地下鉄に出来て、ハチがビルにダンジョンを作りました」
「やっぱり、今までのモンスターとは何かが違うのか」
「フトシ君、今分かったわ。レギオンは急に魔法陣が出現してそこから出てくることもあるみたいよ」
「神殿さん、それで合ってますか?」
「はい、その通りです」
レイカさんの元に何度も電話がかかって来る。
状況がいつもと明らかに違う。
レイカさんが何度も電話を取ったり掛けたりしてあわただしく動く。
電話が落ち着くとレイカさんが俺を見た。
「フトシ君、それとレン君も、今すぐにダンジョンの消滅に向かいましょう。手が足りません」
「「分かりました」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。