第175話

『フトシが来たあああああああ!』

『待ってた! ずっと待ってたぞおおおおおお!』

『フトシ! 行け! 全滅させろ!』


「イナゴは第二形態の次があるのか。スイング!」


 ホームランを打つようにイナゴ6体を吹き飛ばした。

 これで死なないか。

 強いな。


 完全に俺をターゲットにしたか。

 俺はバックステップをしたが、イナゴが俺を囲んだ。

 連携が良すぎる!

 全てのレギオンは意識を共有しているらしいが、本当っぽいな。


 イナゴ100体が俺を囲んだ。

 出し惜しみは無しか。


「皆! 距離を取ってくれ! とっておきを使う!」


 みんなが俺から距離を取り、イナゴの第三形態が俺に迫った。


「レッドフィニッシュ!」


 レッドオーラ1回分と金棒を犠牲にする攻撃を繰り出した。

 金棒が限界を超えて伸び、巨大化し、1秒の間に無数の攻撃を繰り出す。


 金棒が砕け、イナゴの7割程度が魔石に変わった。


「やっべ、倒しきれなかった」


『フトシいいいいい! 金棒無しでどうすんのおおお!』

『早くグレートオーガの金棒を出してくれ!』

『え? なんで棒立ち!』


「桃太郎! 頼む!」


「任せろ!」


『赤鬼が出てきたで!』

『こいつ亜人の王だ』

『桃太郎はおかしいだろ。鬼太郎だろ』

『フトシと同じように金棒持ってるしどう見ても赤鬼』


 桃太郎が金棒を振るとイナゴが1撃で倒れた。


「2体目! 3体目ええ! 5体! 9体いいいい! 13体討伐ううううう!」

「俺も頑張るわ」


 グレートオーガの金棒を持ってイナゴを倒していく。

 俺と桃太郎でイナゴを全滅させた。


『桃太郎つええええええええ!』

『でも、こいつ海岸待機食らってなかったか?』


「あー、ごめん。俺から説明する。亜人の王の名前が桃太郎になったから皆よろしく、そして、海岸待機だったけど、お菓子で釣って連れて来た。俺の判断だから桃太郎のせいじゃない。レイカさん、今すぐにお菓子を食べさせたい」


 本当は桃太郎がスイーツキングの食べ放題に行きたいとごねた。

 でもそれを言うより俺のせいにした方が桃太郎が皆に受け入れられやすいと思った為そういうことにした。


『すぐに手配します。桃太郎さん、協力感謝します』

「いい、それよりスイーツキングに行きたい」

「無理だ。イナゴが発電所の魔石を食べたせいで皆避難している」


「ち、虫共が、俺が自由に動けていればイナゴなんざひとひねりだったのによお」

「……あ、母さんから連絡が、家なら停電してないからお菓子を出せるって」

「なに! 最初に食べたあれか! すぐに行くぞ」

「おし、ついてこい!」


 俺は家まで走り、桃太郎が付いてきた。



 その後、俺が桃太郎を連れてきた件はおとがめなしとなった。

 そして桃太郎が冒険者になった。



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