第76話 妖精を追って⑥

「んん…ここは…」


目が覚めるとそこは広い草原だった。


妖精を追う前に来ていた草原だ。


「そっか…市に戻りしたんだ…私…あ、デスペナ確認しないと…」


私はステータス画面を確認する。


ステータスもアイテムも異常なしっと…。


うん。何とも


ん?スキルが何か増えて…


「きゅ!」


「くぅ!」


「ユズさん!」


「もこ!」


ステータスを確認しているとみんなが抱き着いてきた。


「わわっ!みんな…心配させてごめんね。


大丈夫だよ!」


「良かったです…あの時はなす術もなくやられてしまってすみません…。」


「紺だけのせいじゃないよ。


私もなす術もなくやられちゃったし。」


「きゅ…」


「くぅ…」


「もこ…」


「みんなも責任は感じなくて大丈夫だからね。


また会えたらリベンジしよう!」


私は悲しそうな顔をするみんなを撫でながらステータスをもう一度確認する。


変わってるのは3つ。


《再戦への執念》


《最強種の好敵手》


そして《幸運の連弓》から《変形武器魔法:幸》への進化。


私はとりあえず詳細を確認する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


《再戦への執念》


戦闘際時、自身のステータスは半減(テイムモンスターを含む)


EXP、スキルポイントが大幅に上昇する。


一度負けたモンスターとの戦闘時にステータスが二倍になる。


《最強種の好敵手》


この世界でもっとも強いとされる生物に認められた証。


負けた最強種とのレベル差が1になった時にそのモンスターとの遭遇率が大幅に上昇する。


《変形武器魔法:幸》


好きな形へと変形できる。


ダメージは装備者のLUKによって変わる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なるほど…つまりディザスターエレファントと再戦するまでステータスが半減される…と。


その代わりにEXPとスキルポイントが上がる…か。」


制約は多いけどその分強くなれるって感じかな?


スノウたちまで巻き込んでるのはちょっとあれだけど…。


要するにディザスターエレファントが度肝を抜くくらい強くなればいいんだよね。


「よし!みんな!これから特訓するよ!」


「きゅ~!」


「くぅ~」


「もこ~」


「はい!」


「っとその前に調べものしたいから一旦ログアウトしよう。」


私は色々と情報を手に入れるべく一旦ゲームから現実へと戻る。


「ふぅ…」


ヘッドギアを机に置いて自分の部屋を出る。


「あら?ゆずちゃんだ。」


リビングに行くとだらけた姿の姉…楠木蜜柑がこちらに顔を向けていた。


「お姉ちゃん。おはよう。リビングに居るの珍しいね?


お仕事は終わったの?」


「うん~。大体は終わったからね~。後は引継ぎして一年は暇かな~


やっとFWOを本格的に再開できるよ~」


「じゃあ一緒にやる?」


「まだやめとくよ。


新しいチームメンバーの子も鍛えないとだし~」


「そっか。


あ、そう言えばお姉ちゃん、ユニークボスのディザスターエレファントって知ってる?」


そう聞くとお姉ちゃんの表情が変わる。


「…ユニークボスにあったの?」


「うん。二回。


一回目は山岳地帯でプラチナゴーレムナイト。


二回目は森で…ディザスターエレファント。」


「そう…強かった?」


「ゴーレムナイトの方は協力者がいたから勝てたけど…


ディザスターエレファントには完敗だった。」


「…ごめんね。お姉ちゃんもまだそのユニークボスには会ったことないや。」


「そっかぁ…攻略情報見ても名前しか載ってなくてさ~


お姉ちゃんなら分かると思ったんだけど。」


「あ、でもこんな情報はきいたことあるよ。


ユニークボスに遭遇したプレイヤーには特別なクエストが出現するって。」



「ほんと?」


「うん。これは確かな情報網から得たものだから間違いないよ。」


「よーし!やる気沸いて来た!!!!


レベル上げする!!!」


新たな情報を得た私はゲームを再開するべく部屋へと戻るのだった。









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