第123話 遺跡への道

「おお…ここが古龍の古代遺跡…」


森を抜けるとそこは先ほどまでとは違う石に囲まれたエリアだった。


中心には周りよりもさらに古い作りの遺跡がいくつか並んでいる。


さらにその中心にあるのがおそらく今回のメイン…古龍の古代遺跡だろう。


「さてと…入り口はあそこなんだけど…どうやっていけばいいのやら…」


入り口は見えているけどあそこまで行くための道がない…。


妖精の羽で飛でいってもいいけど…


明らかにやばそうなモンスターが何体か飛んでるし…


というかここ絶対私みたいなプレイヤーが来るような場所じゃないよね???


来る場所間違えたかも…。


今からでも帰って次のエリアに…ん?


「古龍の卵が反応してる…?」


古龍の古代遺跡から離れようとした瞬間にアイテムボックス内の卵が反応し始めた。


まるでこの先に進めと言っているかのように…。


「…はぁ。こうなったら進むしかないか。」


とりあえずはどうやって遺跡の入口までたどり着くかだけど…。


これは強行突破でいいかな。


「スノウ。あそこまで氷の道って作れる?


滑って行けるくらいの。」


「きゅ」


私はスノウに氷の道を作ってもらってそこを滑って進む。


当然だが途中でモンスターには襲われる。


それをどうやって対処していくのかといえば…


答えは簡単だ。


「ルシェリ。氷に当たらないようにフェアリーボムとパラライズシャワーをばら撒いて」


「ルル~!」


パラライズシャワーで痺れさせたうえでフェアリーボムで止めを刺す。


それをルシェリなら広範囲に対して行えるわけだ。


指輪があるから私も出来るけど…


うまく使いこなすには練習が必要なんだよね…。


それを考えるとルシェリに頼んだ方がいいってわけ。


まぁそれは置いておくことにしよう。


「着いた!」


そうこうしているうちに遺跡の入口にたどり着いた。


空中で倒したからどうしようかと思ったけど


あのモンスターのドロップアイテムもしっかり回収できたし…


後で確認しようかな。


「さてと…早速遺跡の中に入りますか…」


私が遺跡の中に入ろうとした瞬間だった。


『資格を示せ』


唐突に頭の中に低い声が響いた。


資格って言っても…あ、そう言えばここに来た時に卵が反応してたし


卵を見せればいいかも。


「これで」


私はアイテムボックスから古龍の卵を取り出す。


『…確認した。先へ進め。』


どうやらこの卵が資格とやらだったらしい。


先に進めるようになったし奥に進もうかな。


「よし。みんな気を引き締めて行こう!」


「きゅ~」


「ルル~」


「はい!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ユズが古龍の古代遺跡に挑戦している頃…。


獣耳を生やしたプレイヤー…ソラはセルブレアの街を散策していた。


「やっと第七エリアまで着いたよ…ここまでの敵強すぎだよ…」


ソラはそう言いながら装備を確認する。


「あちゃ…もう壊れそう…」


ここまでの戦いでソラの装備は耐久値が大幅に低下していた。


壊れるのも時間の問題といった感じだ。


「これは後で鍛冶屋に持っていっ手直してもらおう。」


「さてと…確かネットで調べた情報だとここら辺美味しいケーキが食べられるカフェがあるって…


あった。」


「いらっしゃいませ~」


「おしゃれなお店…」


「ご注文がお決まりなりましたらお声がけください~」


「はい。」


「なぁ…聞いたか?」


「ん?」


メニューを眺めていると後ろのプレイヤーの会話がソラの耳に入ってくる。


「第八エリアのエイトルティナの近くで最高難易度のダンジョンが発見されたらしいぞ。」


「最高難易度?」


「ああ、なんでもダンジョンの外にはレベル180越えの飛竜が飛んでて


まず入り口にたどり着けないらしい。」


「そんなダンジョン誰が挑戦するんだよ。


今のFWOの最高レベルって130だろ?」


「だよなぁ。このダンジョン見つけたってやつも自分には無理だって言ってたし。」


「挑戦する奴は多分バカか勇者だよ。」


「最高難易度のダンジョンかぁ…ユズさんならもしかして…


なんてあるわけないよね。


すみませーん。注文お願いしまーす。」


「はーい。」


ソラは思い至った考えを振り払い店員を呼ぶのだった。

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