第80話 妖精の統べる国③
『悪いねぇ…ユズ様にこんなことさせちまって…』
「気にしないで。私も好きにやってることだし。」
宝探しを開始した私は街中でヒントを探しつつ色々と街の人のお手伝いをしていた。
荷物を運んだり迷子を捜したり店番したり…。
ちなみに今はお店のお手伝いの途中である。
『ユズ様。良かったらこれを持っていってくれ。』
《妖精の術書:浮遊を入手しました。》
「これは?」
店主さんから渡されたのは一冊の本…術書だ。
お店に売っていたものとは色が違う…。
『それは妖精の術を使うための術書。
それに書かれているものは浮遊というもので。
空を飛べるようになる術だよ。』
「妖精はみんな飛べるものじゃないの?」
『大体はそうなんだがねぇ…ごく稀に羽に不調があって飛べない子がいるんだよ。
そう言う子は浮遊の術を使って飛ぶのさ』
「なるほど…」
術=スキルって話だし習得すれば私も飛べるようになるだろう。
羽を生やすスキルと合わせたら妖精っぽくなっていい感じだよね。
それに今までできなかった飛びながらの偵察や戦闘が可能になる。
まぁテイマーの私が戦闘フォームのバリエーションもどうなんだって話なんだけど。
一応サブプランとしては有効だろう。
「ありがとう。大切に使わせてもらうね。」
私は魔導書をしまうと店主にお礼を言った。
『それと…冒険に行くならこれも持っていってよ』
《店主のお手製弁当を取得しました。》
「これ…お弁当?いいの?」
『ユズ様の口に合うかは分からないが…国一番の料理人が作った弁当だよ。
遠慮なく持っていってくれ。』
国一番の料理人って…自分で言っちゃうんだ…。
まぁいいけど。
「ありがとう!魔導書にお弁当まで…」
『それだけユズ様には感謝してるってことだよ。』
『ルル~』
『ルシェリ様も気を付けて行っておいでね』
『ル!』
ルシェリは任せてって顔をして胸を張る。
自信満々な顔してて可愛い。
「じゃあ行こっかルシェリ。」
『ルル~』
私はルシェリを連れてフェアリアのフィールドへと出ようとした…のだが。
「…出れない?」
フィールドの外に出ようとしても《進行不可》の文字が出て進めない。
何かの進行阻害…?
私が何か見落としてる…?
『ルル~?』
ルシェリ…ん?ルシェリ…ルシェリ…ルシェリに関連した何かイベントを進行しないと進めないとか?
そう言えば女王様はルシェリに『街の中』を案内してあげてって言ってた…。
じゃあ『街の外』に出るには女王に報告しないといけないってこと?
『ルル~』
…まぁ行かないと宝探しに行けないっていうんなら行くしかないよね。
「あ、ごめんね。ルシェリ。一回女王様のところに行こうか。外のフィールドに出る許可を貰いに。」
『ル~!』
私はルシェリと共に外に出る許可を貰うべく女王の元へ向かうのだった。
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