第98話その重き刀は誰が為に振るうのかー3―

「ん?なんだろあの人だかり…」


セルブレアに向かっている途中、空から人が集まっているのを発見した。


早くクエスト進めないとだしここはスルーを…


「あれは…狐?」


人だかりの真ん中にいたのは白色の狐だった。


明らかにユニーク絡みだよねあれ…。


スルーするわけにはいかなさそうだな…。


囲んでいるのはNPCではなくプレイヤーみたい。


そう言えばお姉ちゃんがなんか最近レアモンスターの密漁をするプレイヤーがいるって言ってたっけ


「ちょっとごめんね!」


私はそう言って白狐に近付く。


「おい横入りは…」


「スノウ。」


「きゅ。」


私はスノウに氷の壁を作ってもらって周りから白狐を切り離す。


マナーはちょっと悪いけど…こうするしかないかな。


向こうも明らかにマナー悪そうなことしようとしてるし。


でっかい網持ってるし。


「おい!なんのつもりだ!」


網を持った男の内の一人がそう怒鳴ってくる。


「ごめん。私はこの子が必要なの。」


「それなら俺たちだって必要なんだよ!」


「何のために?」


「あ?お前に話す必要あるかよ?」


「まぁ網なんて持ってる時点でろくな用途じゃないんだろうけど…


戦うなら私が相手するけど?」


「やってやるよ!」


「じゃあやろうか。」


私は氷の外に出て戦闘態勢を取る。


まぁスノウの攻撃で一瞬だろうけど…。


念のために誰か追加で呼んでおこうかな。


逃げられたら困るし。


「お、おい…あのユニコーンに髪飾りって…」


「あ、ああ…逃げた方がいいぜ…」


「あ?お前らビビってんの?俺は行くぜ!」


「ちげぇって!あいつは…!」


どうやら突っ込んでこないプレイヤーの方は私の顔を見たことがあるらしい。


…まぁあんだけ目立っちゃったら仕方ないか。


私には関係のないことだけど。


「来ないならこっちから行くよ?ルシェリ。」


「ルル~」


「ユニコーンに妖精…間違いねぇ!魔王だ!」


「逃げるぞ!」


「おい!」


「パラライズシャワー」


「体が…!」


「目の前でこんな小さな生物を虐めようとしてたやつを逃がすと思う?」


「ヒィ!しない!もうしないから許してくれ!」


「嫌。スノウ、ルシェリ。」


「きゅ~」


「るる~」


「いやああああああああ!!!!!」


「ごめんなさいいいいいいい!!!!」


「ちくしょおおおおおおおおおお!!!!!」


男たちはスノウとルシェリの攻撃で消えていった。


改めて私は白狐に近付く。


「紺、この子知り合い?」


「この子は確か大狐様の飼ってる白狐ちゃんですよ。」


「ってことはここら辺に来てたのは間違いないってことだね。」


「逸れちゃったんでしょうね…。」


「この子も一緒に連れていった方がいいよね。」


「はい。」


「よろしくね。白狐」


「きゅい」


私がそう言うと白狐はペコリと頭を下げてきた。


白狐を仲間に加えた私は大狐様に会うべく再びセルブレアに向かうのだった。

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