第34話 変異クエスト戦 ホーンブレイズバイコーン戦

甘味処を出た私は効いた情報を元に凍結の平原へと訪れていた。


情報通りならここに馬のアンデットモンスターが出るはずなんだけど…。


「ん?あれは…人…?」


平原を見回していると人影のようなものが見えた。


だけどなにかおかしいような…?


「様子がおかしいみたい…急ごうか」


「きゅ!」


私はスノウに乗って倒れている人の元へ駆け寄る。


近付いてみると倒れていたのはNPCの兵士だった。


凄い怪我のようだけど…何があったんだろう…?


「大丈夫ですか?」


「あ、ああ…俺は何とか…だが仲間たちは…」


「…ここで何があったのか教えてくれませんか?」


「…あいつは突然現れたんだ。


体が骨だけの気色悪い馬のモンスターだった。


俺たちは急に現れたあいつに戸惑いながら撃退しようと必死に攻撃したんだが…


一切効かなかった。


腕利きの兵隊も何人もいたのにだ。


それどころか俺たちの攻撃を吸収して力に変えてやがった…。


そして俺たちはそのまま反撃を受けてこの有り様ってわけだ。


それにあいつ…俺たちの返り血を浴びて姿を変えやがったんだ。


禍々しい蒼い炎に身を包んだ二本角の化け物に…」


「なるほど…」


どうやら甘味処で聞いた噂よりも事態は深刻らしい。


私が探してる一角獣が進化したのかは分かんないけど…。


別個体かもだけど…。


とりあえず被害が出ちゃってるしここは私がどうにかするしかないかな。


「その馬はどこに行きましたか?」


「嬢ちゃん…まさか戦いに行くつもりか!?


やめとけ!俺たちみたいになるだけだぞ!?」


「失礼な言い方かもしれませんが…私はあなたたちより強いので問題ないです。」


「だがだな…っつつ」


兵隊は痛みを抑えるように脇腹に触れる。


「おとなしくして後は私に任せておいてください。


モココ、この人たちを守ってあげて。」


「モコ~」


「それで?その馬はどこに行ったんですか?」


「あ、ああ…向こうの奥に走ってったよ…」


「じゃあ私は行ってきますがくれぐれもその子から離れないでくださいね。」


モココに怪我人の護衛を任せて私は馬の捜索へと向かう。


しばらく進むと真っ白で広い場所に佇む馬型のモンスターがいた。


おそらく…というか間違いなくあれが探しているモンスターのだと思う。


「でも言ってた特徴と一致しない…一本角だし…なんか骨黒いし…」


佇んでいるモンスターは一本角で骨の色は黒い。


二本角って特徴とも蒼い炎も纏ってない。


「とにかく戦うしかないかな…スノウ!」


『ぎゅおぃぃぃぃぃん!!!!!!!』


私達が戦う体制に入った瞬間、モンスターは形態を変えた。


角は二本になり、蒼い炎を放つ。


これが兵隊たちを襲撃した姿か…。


やっぱり同一個体で間違いなかったみたいだ。


「スノウ!サークルブリザード!」


「きゅううう!!!!!!!」


『ぎゅおぃぃぃぃん!!!!!!!』


「打ち消された…!?」


相手のモンスターはスノウのサークルブリザードを炎の円で打ち消した。


パワーはスノウと互角ぐらいか…。


工夫しないと勝てない相手かもしれないなぁ…。


氷は解けてないしスノウの方が少し強いくらいかな…?


「モノ、相手の炎を消せる?」


「くぅ~」


モノは水魔法を使って相手モンスターの蒼い炎を消した。


消えた瞬間にスノウの攻撃が相手に当たる。


相手の足を凍らせるとスノウは私の方に戻って来た。


「ラッキーバースト!スノウ!アイススラッシュ!」


私はスノウと一緒に相手に攻撃を叩きこむ。


…がしかし相手はびくともしていない。


それどころかなんか炎がデカくなってるような…?


そう言えばあの兵隊さんが攻撃を吸収されているような…って言ってたっけ…


ダメージ吸収のスキルでも持ってるのかな?


そうだとすれば対処法を考えないと…。


一般的なのは限界まで攻撃を吸わせて限界になったところを叩くってやつだけど…。


たぶんアンデットモンスターのあいつには効かない。


ならどうするか…。


「スノウ、あいつまるごと凍らせられる」


「きゅきゅ!」


スノウはわかったと言っているように頷き、相手モンスターを氷漬けにする。


これで解けるまでは動くことはないはず…。


なんか氷が解けるスピードが速すぎる気もするけど…。


「行くよスノウ、モノ!」


氷が解けきる前に私達は攻撃を連続で叩きこんだ。


しばらくは耐えていたがやがてモンスターはポリゴンとなって消えた。


その後に光のようなものが目の前に現れる。


これがマザーの言っていたやつかな…。


とりあえずアイテム名を確認する。


ーーーーーーーーーーー


スノウとの絆の証


テイムモンスター スノウと絆を深めた証。


とある場所で他のアイテムと一緒に使うと特定のモンスターを進化させることが出来る。


ーーーーーーーーーーー


やっぱりそうだった。


「とりあえずアイテムボックスに入れておこう」


私はアイテムを取ってしまう。


「先にモココの回収と報告に行くかなぁ」


私は討伐報告をすべく兵隊さんのところへ戻るのだった。
















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