第147話 悠久に響く黄昏の歌③

ユニットを組むことになった私達は珊瑚の水晶洞窟から私の止まっている宿に移動して作戦会議を始めていた


「それで…具体的にはアイドルって何すればいいんだろう。」


「私達の場合は目的が女王(仮)に黄昏の歌を聴かせて厄災を剥がすこと。


ダンスを練習する必要はないと思う。


だから必要ななのは歌唱力と衣装だけど…。


歌唱力の方はレグリアはクリアしてると思う。


人魚ってとっても歌が上手いイメージだし。」


「ええ。自慢じゃないけど歌は上手い方だと思うわ。」


「私は戦い担当だから程々でいいし。


とりあえず衣装だけ決めればいいと思うかな。」


「そうね…。衣装は大事だと思うわ。


可愛い衣装とか着てみたいし。」


「裁縫スキルとか取れればいいんだけど…そうだ!」


「どうしたの?」


「ちょっと待ってて。」


私はレグリアに少し待ってもらって廊下に出る。


「もしもし?モモ?」


『ユズさん!お久しぶりです!どうしたんですか?』


私はそういうことに詳しそうなモモに通話を掛ける。


「実は裁縫スキルの取り方を知りたいんだけど…」


『裁縫スキル…ですか?そうですね…あれは特別なクエスト受けないとダメなんですよ。


ある程度自分で衣装を作れるようになった後


王都にある洋服屋で発生するクエストをクリアするとゲットできます。』


「今からだと厳しそうかな…。」


『そうですね…。今度私が欲しい素材を採取するのに付き合ってもらえるなら私が作りますよ?』


「ほんと?そんなことならいつでも言ってね」


『契約成立ってことで。


どんな衣装を作りたいんですか?』


「アイドルの衣装なんだけどとあるクエストで必要なの。


私のサイズと相方のサイズは…」


モモに私とレグリアのスリーサイズを教える。


なんでレグリアのスリーサイズを知ってるかって?


それは秘密である。


『任せてください!』


モモはそういうと通話越しにものすごい音を響かせる。


そして十分ほど経った後…


『出来ました!』


「速い!」


『私、こう見えても裁縫スキルEX+持ってますからね。


とりあえずそっちに送りますね』


「そんなこと出来るの?」


『トレード機能を使えばいいんです。』


「なるほど。」


トレード機能っていうのは最近実装された新システムのことだ。


アイテム同士を交換出来る便利な機能である。


「じゃあこっちからは水晶の珊瑚礁を出すね。」


『はい。では行きます。』


私達はトレード開始を選択する。


すると手元の珊瑚礁が可愛いフリフリの衣装に変わった。


『これどこの素材ですか!?凄い綺麗です!』


「今やってるユニークシナリオのだよ。


超特急で作ってくれたモモへのお礼だから気にせず使って。」


『分かりました!』


「じゃあ私はこれで」


『約束の件、忘れないでくださいね?』


「うん。」


そう言って通話を終了する。


これで衣装は何とかなった。


「これで準備はほとんど終わった…けどあと一押しいるかも」


このゲームは自由度が高過ぎていつ何が起こるか分からない。


気を引き締めていかないと。


「とりあえずこれをレグリアに着てもらって写真を撮ろう。」


決して私が保存しておきたいからじゃないよ?


ほんとだよ?


「レグリア。お待たせ。衣装貰ってきたから着てみてもらえる?」


「あら?早かったわね?」


「うん。転送スキル…みたいなのが使えるからね。」


「ふぅん。まぁいいわ。とりあえず着てみるわね。」


「うん。」


「…なんでじっと見てるの?着にくいんだけど…」


「私のことは気にしないでね。」


「気になるわ!?」


そうこうしているうちにレグリアは着替え終わり、その後で私も着替えた。


とりあえず直すところはなさそうだしこのままでいいかな。


「決戦の日は近いわ。気合い入れないと。」


「そうだね。頑張ろ。」


私達は手を合わせると女王を救うべく気合を入れるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る