第103話 その重き刀は誰が為に振るうのか-8-

「はぁ…はぁ…」


「どうした?童はまだまだ戦えるぞ?」


息を切らしている私に対して扇は余裕な表情を見せる。


特訓を初めて数時間が経っているはずだけど…


さっきから何回やっても攻撃が当たらない。


ギリギリのところで避けられてしまう。


しかも扇はずっと余裕そうな表情してるし…。


どうすれば当たるのかな…。


扇に勝てないならムサシに…厄災のモンスターになんて絶対勝てない。


そんな気がする。


どうにかしないと…。


「ユズの刀の一撃には速さが足りんのだ。」


「速さ?」


「ああ。それに刀のギミックを生かせていない。


ユイノキラメキにはユズのテイムモンスター達の力を使う力がある。


奴に勝つにはそれを十二分に生かす必要がある。


さっきみんなの魔力を吸収させただろう?


同じ属性の魔力が使えるようになっているはずだ。


それをうまく活用するといい。」


「みんなの技が…これなら…」


「使い方はなんとなく分かるはずだ。


特訓を再開するぞ。」


「うん。」


「行くぞ。」


扇はもう一度私から距離を取るとものすごいスピードで切り掛かってくる。


試しに注いだ魔力を使ってみようかな。


「まずは…氷属性!」


「…!!」


ユイノキラメキが当たった部分から扇の刀が凍っていく。


なるほど…確かにこれはスノウの氷だ…。


「次は…水属性!」


「勢いが増した…!なるほどな…!だが!」


刀に付いた氷を溶かして扇は体勢を立て直す。


水属性を纏った刀はさらりと躱されてしまった。


「まだまだ…!次は風だよ!」


「むっ!体制が崩れて…!」


私は扇の足元に風を発生させて体勢を崩す。


「今!全属性を込めた一撃!!!!!!」


私は全ての属性の魔力を込めたユイノキラメキの一撃を扇に叩きこむ。


「くっ!」


扇は咄嗟に刀で防ぐがそのまま刀は砕け攻撃は扇に直撃する。


「…まさかこんなに早く当てられるなんて思わなかった。


それに童の刀が折られるなんてな。


童の負けだ。」


「あれはまぐれだと思うし…もう一戦お願いしてもいい?」


「熱心だな。少しは休憩をはさんでもいいんだが…どうする?


さっきからずっと動きっぱなしだろう?」


扇はそう提案してくる。


確かに少し疲れてきたけど…。


まだ刀をうまく使いこなせていない気がするし…。


まだ訓練が必要かな。


「心配してくれてありがとう。


でもまだ刀の感覚を感覚掴めてないし…もう少しだけお願いしていい?


感覚を覚えるまで頑張りたいの。」


「そういうことなら。


いくらでも付き合うぞ。」


「ありがとう。」


言葉を交わすと私達はそのまま訓練を再開するのだった。





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