第102話 その重き刀は誰が為に振るうのかー7ー

「ここがツバキさんの言ってたレベル上げの場所か…」


私はレベル上げをするべくツバキさんに教えて貰ったレベル上げが出来る場所へと来ていた。


確か【魂巡る空洞】って言ってたかな。


見る限りアンデット系のモンスターが徘徊してるっぽいね。


…あれ?あれって…


「ねぇ紺。あれってさ」


「…はい。大狐様ですね。どうしてこんなところに…」


「ルル~?」


私達の視線の先には洞窟の奥に向かって歩いていく扇の姿があった。


これもクエストなのかな…?


とりあえず後を追ってみることにしよう。


「紺。扇のことを追うよ。あの先に何があるのかも気になるし。」


「はい!」


「ルー!」


私達は扇の後を追って洞窟の奥へと進む。


一番奥まで進むとそこには一つの墓標があった。


「ここは…」


「ここはある侍が眠る地だ。」


私の声に反応した扇がそう返す。


「扇。」


「見られてしまったな。いつから付いてきてたんだ?」


「入り口で扇を見かけて。ごめんね。勝手に付いてきちゃって」


「大丈夫。見られて困るものはないからさ。」


「ならよかった…それで…さっき言ってた一人の侍って言うのは?」


「ああ…童の知り合いでな。責任感の強い奴だったよ。


数十年も前に帰らぬ人になってしまったがな。


まぁここには体は入ってないから形だけなんだが。」


「体は…入ってない?」


「…ああ。奴の体は死霊に憑りつかれて今もなお彷徨っている。」


「それって…」


「奴の名前は…お前たちももう知っているか。」


「…重刀剣豪のムサシ。」


「ああ。童では止められなかったからな…。


奴を眠らせてやってほしい。


頼んだぞ。


ああ。そうだ。これをユズに託しておこう。


役に立ててくれ。」


そう言って扇は私に一振りの刀を渡してきた。


「これは…刀?」


「ああ。童がユズのために作った特別な刀だ。


聞いたユズのステータスに合わせて調整してある。


それと…別のギミックも用意した。


紺とそれと…ルシェリ…だったか?


この刀に魔力を注いでみてくれ」


「えっと…こうですか?」


「ルル…?」


紺とルシェリが刀に魔力を注ぐと刀が緑と赤の混ざった色で輝き始める。


輝きが収まると刀の刀身がクリスタルのようなものに変わっていた。


「これは…」


「それはテイムモンスターの魔力を吸収して成長する刀だ。


名づけるなら…従魔晶刀 ユイノキラメキ」


「ユイノキラメキ…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


従魔晶刀 ユイノキラメキ


特殊な水晶を使用した至高の一振り。


使い手と心を通わせた従魔の魔力を糧に成長する。


吸収した魔力の記憶を読み取りスキルを使用することが出来る。


吸収した魔力



ルシェリ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


これって…もしかしてとんでもないものなんじゃ…。


「ほんとにいいの?こんな強そうな刀タダで貰って…」


「ユズのために作ったと言っているだろ?


それに奴の魂を鎮魂してくれるだけで十分ありがたいからな。」


「そっか。」


「頼んだぞ。ユズ。」


「任せて。」


「よし!童が特訓を付けよう!」


「え?どうしたの急に…」


「お前たちはここにレベル上げをしに来たんだろう?


なら童がそれを手伝おうじゃないか。


お前たちには強くなってもらわないといけないからな。」


「具体的にはどんなことをするの?」


「童と戦ってもらう。それだけだ。」


「それだけ?」


「ああ。ただし手は抜かない。


全力で行かせてもらうから覚悟してほしい。」


「分かった。」


こうして私達は扇と特訓することになるのだった。



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