第101話 その重き刀は誰が為に振るうのかー6-

「着いたぞ。ここが狐の国だ。」


ワープホールを通るとそこには見たこともない建物がたくさん並ぶ景色があった。


「宮殿へはこの先の道を真っすぐ行けば着く。


童は少しやらないといけないことがあるからここからは別行動にしよう。


紺。ユズを宮殿まで案内してやってくれ。」


「分かりました!」


扇は紺に私の案内を任せるとどこかに行ってしまった。


どこに行ったのか気になるけど…


とりあえず宮殿に向かった方がよさそうだ。


「お願いね。紺。」


「はい!こっちです。付いてきてください。」


紺の後に付いて私は宮殿へと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


宮殿に着くとそこには何人もの狐のメイドさんが並んでいた。


「ようこそお越しくださいました。ユズさん。紺も。」


通された部屋の奥にはツバキさんが座っていた。


「久しぶり。ツバキさん。」


「それでお義姉さま。今の状況は…」


「ええ…非常に不味い状況よ。あれが狐の国を攻撃を始めるのも時間の問題…」


「ここも危ないのでは…?」


「国には結界が張ってあるのでまだ大丈夫なはず。」


「それで…この国を襲ってるやつってどんな奴なの?」


「奴の名は…重刀剣豪のムサシ。ユズさんたちの世界で厄災…と呼ばれているモンスターの内の一体です。」


「厄災…」


つまりはディザスターエレファントやアビスフェンリルなんかと同じってことか…。


厄介かもしれない…。


「ムサシは侍からの1対1の挑戦しか受けず不意打ちで攻撃すると怒り狂って周りを破壊するんです。


今までも勝手に先行した部隊が複数人で不意打ちをしようとして壊滅…。


ムサシは怒り狂ってこの国の周辺を破壊しています。


さっきも言ったようにこの国には結界が張ってあるのでまだ多少は耐えられますがこれが続いたら…」


「それで私を呼び出したんだね。」


「はい。ユズさんには侍の職業にチェンジしてもらってムサシを止めていただきたいのです。」


「侍に…」


「お願いします!この国を救うために!」


「ユズさん…私からもお願いします!」


ここで嫌なんて言うほど私の性根は腐ってない。


引き受けることには問題はない。


「分かった。受けるよ。」


《ユズの職業が侍に変わりました。》


アナウンスと共に私の職業がモンスターテイマーから侍に変更される。


それに伴ってスノウたちテイムモンスターは召喚不可になっている。


「それで…今から私が刀の使い方を覚えて勝てる保証はある?」


「…今のユズさんの今のレベルですと厳しい戦いになるのは覚悟しておいた方がいいかと


頼っておいて申し訳ないですが…」


「大丈夫。正直に言ってくれてありがとう。


ここら辺に修行できる場所はある?」


「…!それでしたらムサシの攻撃が届いていない範囲の場所にモンスターが大量に出現する場所があります。」


所謂モンスターハウスってやつか…。


確かに修行にはちょうどいいかもしれない。


とりあえず80くらいになればいい勝負は出来そうかな…。


「じゃあ…出来るだけ早く帰ってくるね。」


「ユズさん。私も行きます!」


「でも今はテイムモンスターじゃないからバフとかは掛からないけど…」


「私も…強くなりたいんです!」


「…分かった。一緒に行こう。」


「ルル~!」


「…そうだね。みんなで強くなってみんなで勝とう。」


こうして私は紺とルシェリと一緒にレベル上げをしに行くのだった。





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