第88話 猫と犬

「あの!」


「さてと…どこ行こうかなぁ…。」


テイマー組合を出た私は次の目的地を考えていた。


フェアリアに戻って特訓か…それとも第七エリアの探索か…


第七エリアに次の十二星神がいるかもしれないし道しるべを頼りに探そうか…。


「あの!聞いていますか!?」


「耳元でさっきから…なに?」


声の方を向くとネコ耳の女の子がこちらを涙目で見つめていた。


「やっと振り向いてくれましたね…!」


「ごめんなさい。私、先を急いでるの。」


「そんなこと言わずに私のお話を聞いてくれませんか!旅人様!」


旅人様…?よく見たらプレイヤーじゃなくてNPCみたいだし…もしかして何かのクエストかな?


一応話を聞いてみてもよさそうかも。


「少しだけなら…」


「ありがとうございます!!」


《クエスト:猫の仲間を助けて 開始》


「それで…私に何か用なの?」


「相当腕の立つ旅人様だとお見受けしました。


私の仲間たちを助けては頂けないでしょうか!」


「あなたの仲間を?」


「あ、申し遅れました。私はニャウ。ワーキャットです。


このあたりの森で仲間と一緒に生活しています。


今までは平穏に生活できていたのですが…ある日突然コボルトたちが現れて村を襲ってきたのです!


立ち向かいましたが私以外は捕まってしまって…


お願いします!仲間を助けてください!」


「なるほど…」


コボルトたちを倒してニャウの仲間を救うのが今回のクエストってことね。


「分かった。そこまで案内してくれる?」


「ありがとうございます!」


私はニャウの案内で村の近くまで移動する。


そこには蔦でグルグル向きにされたワーキャットの女の子たちとそれを見張るコボルトの姿があった。


「ルシェリ。コボルトだけにパラライズシャワー出来る?」


「ル」


ルシェリはコボルトの周りにだけ麻痺の雨を発生させてコボルトを痺れさせる。


「ありがとう。」


私は変形武器魔法を剣に変形させて確実にコボルトを仕留めていく。


その場にいたコボルトを全部処理したところで大きなコボルトが現れた。


『貴様…何者だ?』


「私はただの旅人だよ。」


『…ふん。詳細は語らんか。まぁいいどうせ貴様はここで死ぬんだからな。』


「死ぬのは…どちらかな?」


『なに…瞼が…重く…』


「あなたと私が喋ってる間にルシェリにスリーピングボイスを発動させて貰ったの。


卑怯とか思わないでね?


これでも私はテイマーなの。」


『し…かし…俺にはまだ…仲間が…』


「残念。あなたの仲間も今頃夢の中だよ。」


『全て…さく…せ…zzz』


「この勝負…私の勝ちだよ。」


私は大きなコボルトに剣を刺して止めを刺した。


そのまま剣で蔦を切ってワーキャットたちを解放する。


「ありがとうございました!旅人様!」


「怪我はなかった?」


「はい!」


「ルシェリもお疲れ様。」


「ルル~。」


「これ…ささやかですがお礼です。受け取ってください。」


《ワーキャットのお守りを取得しました。》


「ワーキャットのお守り?」


「それを持っていると猫系のモンスターと出会いやすくなります。


テイマーさんと仰っていたので…」


「ありがとう。大切に使うね。」


これで新しい仲間に出会える確率が増えるのは嬉しい。


このまま第七エリアの探索に行ってみよう。


「じゃあ。またどこかで。」


私はニャウたちに別れを告げると第七エリアの探索へと向かうのだった。




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