番外編 とある場所にて

とあるビル内にて…


「お疲れさん。FWOのストーリー進行具合はどうだ?」


PCに向かってひたすら打ち込みを続ける男にスーツを着崩した男がコーヒーを渡しながら話しかける。


「お疲れ様です。順調…とは言えないっすねぇ」


PCから顔を上げた男はスーツの男からコーヒーを受け取って一気に飲み干し、近くのごみ箱に投げ入れた。


そしてまたPCへと向かう。


「やっぱりあの十二体強くし過ぎたか?」


「最強って付けてるんだしあのくらいで問題ないっすよ。」


「ディザスター、ファントム、アビス、グラビティ、アンデット、エターナル、ナイトメア


プリンセス、グリード、ファング、エンシェント、ディスラプトの十二体…


そのうち見つかっているのがディザスター、グラビティ、ファングの三種類。


三体倒すごとにメインのシナリオが進むシステムにしたが…


進まないもんだな。


ちょっとそこらへんミスったか?」


「戦闘が確認されてるのはその三体っすけどエンシェントも遭遇したプレイヤーは入るんすよ。」


「あいつの遭遇度最低にしたよな?そんな幸運なやつがいるのか?」


「ええ。しかもそのプレイヤー、ディザスターと遭遇して戦闘してるんすよ。」


「…そのプレイヤーの情報出せるか?」


「ちょい待ち…ありました。これっすね。」


「プレイヤーネームはユズ…職業はテイマー…ユニーク二つクリアしてんじゃねぇか。


しかもその二回ともでランダム要素のNPC加入を引き当ててやがる…。


…なるほどLUKに全振りしてるからか…。


他にも隠しクエストやらボスやら引き当ててやがるし…


面白いプレイヤーが見つかったな。」


「どうします?幸運関係の要素に修正掛けるっすか?」


「いいや。このままでいく。こういう奴がいた方がゲームは盛り上がるだろ。


それに今このタイミングで幸運に修正を掛けたらこいつだけメタることになるだろ?


それは不公平だ。


こいつは不正なんかせずにこの結果を出してるわけだしな。」


「了解っす。あ、そう言えば今日は何の用だったんすか?


ただの進捗確認じゃないっすよね?」


「ああ。そうだった。第八エリア解放時に開催するって言ってたイベントのことなんだけどな。


レイドバトルはどうかと思って意見を聞きに来たんだよ。」


「いいと思うっすよ。モンスターは何にするんすか?」


「厄災の十二体…最強種のうちが一体『ナイトメア』虚夢竜ジャバウォックだ。」


「あいつを使うんすか…?あいつのレベル220っすよ…イベントにならないんじゃ…」


「何人かいるだろ?あいつに太刀打ちできそうなプレイヤーが。


それに撃退するイベントなだけだから倒すわけじゃないから大丈夫だ。


ダメージを多く与えた上位5人にユニーククエストを発行させる。


参加者には与えたダメージ数に応じた報酬。


これでどうだ?」


「…もうちょい練る必要はありそうっすけどそれでオッケーっすよ…社長。」


「じゃあ俺は会議だから…頑張ってくれよシステム担当。


あ、それと…あの事件の補填がまだだろ?

プレイヤーユズに送っといてくれ」


了承の言葉を聞くとスーツの男は追加の頼み事をして部屋を出て行った。


「…全く。人使いの荒い社長っすね。まぁ頑張るっすけど。」


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