第77話 妖精を追って⑦

『フフ~!!』


「あなたはさっきの妖精…どうしてここに?」


情報を集めて戻ってきた私の前に現れたのはさっきの妖精だった。


『フフ~』


「紺。通訳できる?」


「任せてください!」


何かを言っているみたいだけど分からないので紺に通訳を任せる。


『フフ~フフ…』


「『さっきはごめんなさい。あなたを試すために試練としてそこら辺のモンスターに術を掛ける予定だったのだけど


まさか厄災のモンスターがあんなところにいるとは思わなかったの』」


そう言って妖精はペコリと頭を下げてくる。


どうやらこの子はディザスターエレファントのことについて何か知っているらしい。


この子は厄災のモンスターって言ってたけど…。


普通のユニークボスとは何が違うんだろう?


「あのモンスターのこと知ってるの?」


『フフ』


「『あれは厄災のモンスター…ディザスターエレファント。伝承に伝わる最悪なモンスターよ』」


「最悪なモンスター…やっぱりあれはとんでもないモンスターなんだ…。」


そんなモンスターにライバル認定されてる私…やばくない?


この先普通にプレイできるのかな?


『フフ』


「『ちなみに厄災は一度目を付けた相手を倒されるまで一生逃がさない。


あなたがレベルを上げて強くなった時きっとまた現れる。


そうするとあなたも私達も困る。


だからあなたには力を付けてもらいたい。


そういうわけであなたには私達の国へと来てもらいたいの。』」


「あなたたちの国?」


『フフ!』


「『私達の国…妖精帝国フェアリア。


妖精の女王が統治する妖精のための国。』」


「そこに私を招待してくれるってこと?」


『フフ』


「『ええ。私達の女王にあってもらいたい。


きっとあなたがあのモンスターに勝つ術を示してくれる。』」


てっきり泉の場所を教えてくれるものだと思ってたけど…


違うクエスト…?


そう思って詳細を確認してみるが今進行してるクエストで間違いはないらしい。


しかも泉を見つけるってところも達成済みになってるし…。


どういうことなんだろう?


「あなたは妖精に関係する神秘な泉のことについて何か知らない?


私はそれを探していたの。」


『フフ?』


「『泉?それならあなたはもう既にたどり着いているわ。


あなたの実績にそれが表示されていなかったのは私達妖精族と出会ってなかったから。』」


つまりあの泉の精さんの泉がその神秘なる泉だったってこと…?


まさかこんなところで繋がるなんて…。


ほんとにFWOはどことどこが繋がってるか分からないな…。


「『さぁ妖精の宝石を天に掲げて祈りを捧げなさい。


そうすれば妖精の帝国へと続く道が現れる。』」


「妖精の宝石って水精霊の秘石でも大丈夫なの?


これって水精霊様の神殿を探すためのものみたいだけど…」


「『問題ないわ。水、火、風、土、光、闇の精霊の秘石のことを私達の国では総じて妖精の宝石と呼んでいるの。』」


「なるほど…。」


「『暗くならないうちに…それと人が来ないうちに早く。


フェアリアは認められたもの以外には存在を秘匿にしなければならないという決まりがあるの。


それにあなたも騒ぎになるのは面倒でしょう?』」


確かにそれもそうか…


情報がないってことはこのクエストは私以外誰も発生させていないクエストだ。


情報を独占したいわけじゃないけどしばらくは秘密にしておきたい。


それはルール違反でもなんでもないしね。


っとそれは置いといて急いでやらないと


「こうかな」


言われた通りに私は水精霊の秘石を空に向かって掲げる。


すると空中に大きな船のようなものが現れる。


「これが…」


「『行くわよ』」


そう言われて妖精に触られると体がふわりと宙に浮いた。


「え?ちょ…」


そして私はそのままその中へと吸い込まれていくのだった


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