第78話 妖精の統べる国①
「んん…ここは…」
いつの間にか眠っていたらしく、目を覚ますと大自然が広がっていた。
どのエリアとも違う全く違う場所みたいだけど…。
一体ここはどこなんだろうか?
『フフ』
「『お目覚めね。』」
目の前にさっきの妖精が現れる。
「『ようこそ。妖精の帝国フェアリアへ。
さっそく女王の元へ案内するわ。』」
「ここがフェアリア…」
『フフ。』
「『そう言えば名を名乗ってなかったわね。
私はアルラ。
女王の娘…いわゆる王女よ。』」
「私はユズ。テイマーだよ。」
『フフ』
「『知っているわ。この国にあなたを知らない妖精なんていないんじゃないかしら。』」
「え?」
私ってここでもそんなに有名人なの?
目立ったことはそこまでしてないはずなんだけど…。
『フフー』
「『あなたは私達の力がこもった衣装を身にまとってたくさん活躍してくれているもの。
』」
「あなたたちの力がこもった衣装ってこのドレスのこと?」
『フフ』
「『ええ。そのドレスはこの国で作られたドレスの中でも特にいい出来のものなの。
泉の番をしていた精霊に渡しておいて正解だったわね。
でなければあなたとも出会えなかった。』」
「私からもありがとう。このドレスすごく気ごごちがいいし性能もいい。
とても気に入っているの。」
『フフ♪』
「『そう言ってくれて嬉しいわ。
おっと…ここで長話していると日が暮れてしまうわ。
早く女王の元へ行きましょう。
お母様もあなたと会えるのを楽しみにしているはずよ。』」
そう言って飛んでいくアルラの後ろをどうにか付いていく。
妖精って速いから私のSPDだと追いかけるのも一苦労なんだよね…。
スノウの背中に乗れば速いだろうけどいきなりスノウみたいな大きいモンスターを召喚したら仮に近くに妖精がいた場合に驚かれて敵と認定されかねない。
アルラはみんな私のことを知ってくれていると言っていたけど…
トラブルが起きたらそれでもめんどくさいことになる可能性はある。
ここは…。
「紺。私のこと乗せてアルラに追いつくことって出来る?」
『はい!任せてください!』
私は元々アルラの通訳をしてもらうために召喚していた紺にお願いして背中に乗せてもらってアルラを追う。
そうしてたどり着いたのは真っ白な宮殿だった。
『フフ』
「こっちへ来てって言ってるみたい。」
これは通訳なしでも分かる。
まぁ手招きもしてるしね。
そのままアルラに付いていくとその先には大きな扉があった。
「この扉を開けばいいのかな?」
大きな扉を押して開けるとそこに広がっていたのは豪華で大きな部屋だった。
奥には四枚の羽を持った大きな妖精が玉座のようなものに座っている。
恐らくあれが女王様だろう。
『ようこそお越しくださいました。ユズ様。あなたの来訪を心待ちにしておりましたわ。』
「こちらこそお招きいただきありがとうございます。」
『砕けた話し方で大丈夫ですわ。』
「じゃあ…そうさせてもらうね。」
『それでは改めましてユズ様。ようこそフェアリアへ。
ここにはユズ様が強くなるための施設がたくさんあります。
存分にご活用くださいませ。
お店でのお買い物も自由に楽しめるよう外の世界での通貨を使用できるようにしておきました。
案内はこの子に任せますので気になることがあれば遠慮なく聞いてください。
ルシェリ。ユズ様の案内お願いね。』
『ル~』
「よろしくねルシェリ。」
『ルル~』
『では私は議会があるのでこれで失礼しますね。
アルラ。行きましょう。』
『フフ』
「『はい。女王様。ではユズ様。ごきげんよう』」
そう言ってアルラを連れて女王様は部屋を出て行った。
忙しいのに私のために待っててくれたってことなのかな?
「さて…とりあえず買い物したいかな。ルシェリ。お店案内してくれる?」
『ルル~』
私はルシェリの案内でフェアリアを見て周ることにしたのだった。
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