第54話 剣と再びのイルカ

「お待たせしました!これが約束の龍殺の剣になります!」


「ありがとう。はいこれお金ね。」


私は冬の街で合流したシェルナから剣を受け取り、代金を渡す。


「確かに受け取りました!では私はこれで!」


シェルナは代金を受け取ると私に手を振って店を出て行った。


「さてと…私も行かないとね。」


私も店を出てフィールドへと移動する。


「スノウ!」


「きゅ~」


「第五エリアへ戻るからお願い!」


「きゅー」


私はスノウに乗るとシンシアと紺が待つ第五エリアへと急ぐのだった。


ーーーーーーーーーーーーー


「お待たせ。シードラゴンはまだ出てない?」


「おかえりなさい。ユズさん。まだ何ともありませんよ。」


「紺もシンシアのこと守ってくれてありがとね。見た感じ大丈夫だけど何もなかった?」


「何にもなかったので大丈夫でしたよ。」


「ならよかった。」


「ユズさん。もしかしてその背中の剣は…」


シンシアは私が背負っている剣を指差す。


「これこそがシードラゴン打倒のための秘策…龍殺の剣だよ。」


「これが…」


「私はこのままシードラゴン討伐に行ってくるからシンシアはここで待ってて。」


「…おひとりで大丈夫なんですか?」


シンシアは心配そうな顔をしている。


まぁ当然だよね…私、はたから見たら小さな女の子だし。


紺がいるし実力も分かってるとはいえ心配にもなるよね。


「一人じゃないよ。私にはスノウや紺…テイムモンスターのみんながいるから。」


「大丈夫ですよ!シンシアさん!私もいますから!」


「なら…お任せします。シードラゴンが暴れてこの街に甚大な被害が出る前に…」


「うん。任せておいて。行ってくるね。」


そう言って私達はスノウに乗って海辺へと移動するのだった。


「さてと…海に着いたわけだけど…」


海辺へと移動してきた私たちは海を見る。


「水中移動があるしこのまま突っ込んでもいいけど…」


「暴れ出す前にどうにかしないとですから休んでるところを叩いた方がいいんじゃないですか?」


「そうなんだけどね…この広い海のどこに居るのか…スノウ、感知できる?」


「きゅ…きゅ…きゅ~」


スノウは一度試してみるも首を横に振る。どうやらダメだったらしい。


うーん。どうしようか…?


前みたいに海を凍らせてもいいけどあれはイベント専用フィールドだったから良かったんだろうけど…


今回は普通にフィールドだからね…凍ったらしばらく戻らないだろうし…。


「海に潜って歩き回るしかなさそうかな…」


「ユズさん!あれ!」


どうしようか悩んでいると紺が私の袖を引っ張る。


何か緊急事態だろうか?


「紺…なに…ってあれは…イルカの群れ…?こっちに向かってる…?」


こちらに向かってイルカの大群が迫ってきていた。


「…あれ?あの戦闘にいるのってこの前の…」


「きゅるるぅ~」


「やっぱりこの前のウタイルカだ。どうしたの?」


「きゅるぅー」


「ふんふん…海で巨大な魔物が古代遺跡近くを陣取って眠ってるから襲われないうちに逃げてきたんですね。」


紺がウタイルカの言っていることを翻訳してくれる。


私も分からないわけじゃないんだけど…まぉいいや。


「巨大な魔物って…」


「たぶんそうですよ!」


古代遺跡って言うのも気になるけど…今重要なのは巨大な魔物の方だ。


恐らくシードラゴンで確定とみていいだろう。


「イルカさん、悪いんだけどその魔物のところまで連れてってくれない?」


「きゅるぅ…きゅるるぅ~」


ウタイルカは少し考えると私達を案内するように海へと潜る。


「行こう。シードラゴンのところへ。」


「はい!」


私達はシードラゴンの元へと行くためウタイルカに付いていくのだった。













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