第115話 不死鳥の試練①

「ここがエイトルティナ…」


私はエイトルティナの門を見上げて声を漏らす。


思っていた数倍大きい街だ。


そして真っ白だ。


「ようこそ神聖国の中心…エイトルティナへ!観光ですか?お祈りですか?」


「えっと…」


入り口で門を見上げているとシスター服を着た女の子に話しかけられた。


NPCのようだけど…なにかのイベントかな?


とりあえず確認してみると


不死鳥の試練進行中の文字があった。


これが不死鳥の試練のクエストかぁ…。


周りを見ても他にそれらしきクエストを受けている人はいないみたいだし…。


やっぱりキーはあの結晶かな。


あれが三つ揃うと不死鳥の試練に挑めるって話だったし。


「あ、申し遅れました。私はリジン。ここの神殿でシスターとして働いているものです。」


「私はユズ。こっちの子はルシェリ。」


「よろしくお願いします。ユズさんにルシェリちゃん。」


ルシェリに驚いた様子もなく普通に挨拶をしてる…。


ここら辺では妖精は珍しくないのかな?


「それで…リジンはここで何をしていたの?」


「案内です!」


「案内?」


「はい。先日神様からの信託を受けまして。


もうすぐこの国にたくさんの人が訪れるようになると。


なのでその人たちの役に立てればなと。」


「なるほど。」


神様…って言うのは運営のことなのかな?


「それで…ここに来た目的は観光ですか?お祈りですか?」


「うーん。観光が近い…のかな」


「でしたらこの近くのおすすめのスポットをご紹介…」


リジンは言い掛けたところで動きを止める。


「どうしたの?」


「いえ…なぜかは分からないんですけどユズさんからは神聖な力を感じるんです。」


「神聖な…あ、これ?」


私はリジンに聖獣の結晶を見せる。


神聖な物って言ったらこれくらいしか思いつかなかったけど…。


まぁこれがキーアイテムだと思うし。


これじゃなかったらどうしよう。


他に心当たりなんてないけど…。


「そ、そ、それは…!!!!!!!!!」


当たりだったらしくリジンはとんでもない顔で詰め寄ってきた。


「それです!それから感じます!なんなんですかそれは?」


「聖獣と戦って手に入れた結晶だよ。」


「聖獣!?戦った!?」


「うん。」


「出会うことも難しいと言われている聖獣と出会ったばかりじゃなくて戦って力を認められた…?


あなたは一体何者なんですか…?」


「私はただの旅人だよ。」


「…そういうことにしておきましょう。」


一応納得はしてくれたらしい。


ほんとにただの旅人みたいなものなんだけどなぁ…。


まぁいいか。


「改めて街に入りたいんだけど…」


「ユズさんには直接神殿に来ていただきます。」


「え…私の意志は?」


「とにかく来ていただきます。いいですか?いいですね?」


「…分かった。」


そうして私は強制的に教会に連行されることになった。


どうしてこうなったんだろう…。

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