第117話 不死鳥の試練③

「ここが不死鳥の試練を受けることが出来るとされている場所です」


「ここが…」


私は案内されたオレンジの塔を見上げて唖然としていた。


いや不死鳥の試練っていうくらいだし攻略難しいのかなとか思ってはいたけど…。


まさかこんな高い塔を登ることになるなんて思わなかった。


まぁでも入る前にひよってても仕方ないか…とりあえず入り口は…あそこかな?


私は入り口を見つけて近づく。


「ん?なにか書いてある…」


【この先、結晶を所持しているもののみ進行可。従魔以外の同行不可


従魔は一体のみ使用可】


「つまりテイマー以外は基本ソロでテイマーもテイムモンスターは一匹までか…」


「では私達も入ることが出来ないということですね…。」


「うん。私とテイムモンスターの誰かで行ってくるよ。


セイン達はここで待ってて。」


「分かりました。ご武運を」


さて…誰を連れていくか。


ここは慎重に考えよう。


不死鳥のイメージといえば炎属性だ。


なら炎と氷がメインのスノウは相性が悪い。


ルルはまず呼び出せる場所がない。


モココは綿が燃えたらまずい…?


ってことはモノか紺かルシェリか…


…とまぁ水が使えるモノが一番いいかな。


「モノ、お願いできる?」


「くぅ」


「それで紺とルシェリはここでセインたちを護衛してて。


なにかあるかもしれないし。」


「分かりました。」


「ルル~。」


紺達にセインたちの護衛を任せて私は不死鳥の試練の場へと足を踏み入れた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


不死鳥の塔内部


「不死鳥が住んでるとこってだけあってなんか神秘的な場所だな…」


「くぅ…」


塔へ入った私はモノを抱っこしながら階段を上っていく。


ここまでモンスターとの遭遇はなくただただ神秘的で静かな空間が広がっている。


試練…ってくらいだからもっとモンスターがわんさかいてそれを倒していくものだとばかり…。


「なにも…出てこないね」


「くぅ」


「このまま頂上まで着いちゃいそうだけど…」


「くぅ~」


「ん?どうしたの?」


「くぅ」


モノはただひたすらに上を向いている。


上に何か…


【余の神域に侵入せしものよ。


貴様は証の所持者か?】


「なに…あれ…」


「くぅ」


上を向くと明らかにこちらの数十倍はあるサイズの顔がこちらを見ていた。


見たところ鳥っぽいし【余の神域】って言ってるから…


「もしかしてあなたが不死鳥?」


【いかにも。余は不死鳥フェニックス。この神域の創造主である。


もう一度問う。証は持っているか?】


「証って結晶のこと?これだよね。」


私はフェニックスに聖獣の結晶を見せた。


【三つ揃えてくるとは…貴様ただものではなかったようだな。


ならば改めて歓迎しよう。


挑戦者よ。


よく来た。


ここは不死鳥の塔。


未だ攻略者はいない。


我が聖域である。


試練の内容はたった一つ。


余に勝つことだ。


もしも勝つことが出来れば報酬をやろう。


準備が出来次第声を掛けるがいい。】


「私の準備は満たんだよ。


モノもね。」


「くぅ」


【では始めよう。


不死鳥の試練を!】


こうして私とフェニックスの戦いが始まるのだった。

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