第75話 妖精を追って⑤

「さてと…神秘なる泉かぁ…どこから探そうかなぁ…」


私はアップデートにより前よりも広くなった第一エリアの草原に立ち、あたりを見回す。


確かに最初に来た時にはいなかったモンスターがちらほらと…


アップデートで色んなところが変わってそうだしもしかしたらもしかするかも?


「スノウ。お願いね。」


「きゅ~」


「モノは周りを警戒して。」


「くぅ~」


私はスノウに先導してもらって周りを警戒しつつ先を進む。


ユニークボスのことはまだあんまり分からないけど警戒はしておくべきだ。


出現条件が分からない以上いつどこから襲ってくるのか分からないからね。


「ん…?妖精…?」


しばらく探し回っていると一匹の精霊が浮かんでいるのが見えた。


『フフッ』


「もしかして…付いて来いって言ってるの?」


『フフー』


妖精は私を導くかのように森の方向へと飛んでいく。


「とにかく付いていってみよう…。」


確実に私が追ってる妖精イベントなのは間違いないだろうし。


付いていかないという選択肢はない。


「スノウ!あの妖精を追うよ!」


「きゅ!」


スノウの背に乗って私は妖精の後を追いかけた。


しばらく付いていってみると広い場所へにたどり着いた。


前はこんな場所なかった気がするけど…


やっぱりアップデートで増えたのかな?


「そうだ。あの妖精は…どこに…」


『フフ~』


「あんなところに…どうやって近付けば…」


『フフ』


「あ、待って!」


私は妖精を追おうとする…が目の前に巨大な何かが目の前に立ちふさがった。


壁…じゃない。


「これは…モンスタ―?」


とりあえず詳細を検索してみる。


ーーーーーーーーーーーーーーー


ディザスターエレファント


ユニークボス


状態:狂化 妖精のいたずら 


ーーーーーーーーーーーーーーー


「妖精のいたずら…さっきの妖精が暴走させてるってこと…?」


『brrrrrrrrrrr…』


「なんにせよ戦わないことには始まらないみたいだね…


スノウ!モノ!戦闘態勢!」


「きゅ!」


「くぅ!」


『byyyyyyyyyyy!!!!!!!!!』


「くるよ!スノウ!ブレイズブリザード!!!!」


「きゅ!!!!!!!!!!!!!」


ディザスターエレファントの踏み付け攻撃に対してブレイズブリザードをぶつける。


攻撃でディザスターエレファントの巨体はよろけて、私達がいたところの横にクレートが出来た。


あんなの喰らってたら一発アウトだった。


とにかくあれを食らう前に何とか倒さないと…


「幸運の連弓!!」


『br!!!!!!!!』


「目を狙ったら鼻で防がれた…ってことはディザスターエレファントの弱点は目かな…


スノウ!ブレイズブリザード!モノ!アクアバースト!目を狙って!」


「きゅ!」


「くぅ!」


『brrrrrr‼‼‼』


「嘘でしょ…目を別の位置に移動させて弱点への攻撃を防いだ…?


そんなのありなの…?


なんでもありか…。」


『brrrrrrrrrrrrr!!!!!!!!!!!』


「うがぁ!!!!」


ディザスターエレファントの攻撃が直撃して私は吹き飛ばされた。


「いたた…うわぁ…体力がごっそり削られてる…次食らったら死に戻りしちゃうな…」


このゲームの死に戻りのデスペナルティはそんなに痛いものではないらしいけど…


「ここまで負けなしなのにこんな像に黒星付けられるのは嫌だ…」


「きゅ!」


「そうだよね…スノウ…こんな姿…私らしくない…


それにここを切り抜けないと妖精には会えないし泉にもたどり着けない…


なら!!!


どっちかが倒れるまでとことん戦ってあげる。


覚悟してよね…ディザスターエレファント!!!」


『brrrrrrrrr!!!!!!!!!!!!!!!!』


私の声に反応するかのようにディザスターエレファントは雄たけびをあげる。


あっちもやる気満々ってことね…。


「こっちも総力戦!勝負だよ!ディザスターエレファント!


来て!紺!モココ!」


「はい!」


「モコ~!」


ルルは陸上じゃ呼び出せないしからお留守番。


「スノウ、ブレイズブリザード!


モノ、ファストアタック!


紺!スピリットフレイム


モココはもこもこウォールで周りを囲んで!」


これでディザスターエレファントはもう逃げられないはず。


「ただ…これだけやってもあんまりダメージないっぽいんだよね…」


さっきから一斉攻撃を続けてるけどダメージはなさそう。


別の策を試してみようかな…


『brrrrrrrrrrrrr!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


「行動パターンが変わった…!?まずい…みんな避n…」


その先の言葉は出なかった。


目の前で吹き飛ばされて頭と離れた体が舞う。


スノウたちが消えていく姿が見える。


そうか…さっきダメージが通ってなかったのは仕様だったんだ。


一定以上ダメージを食らうと数分ダメージが入らないようになる。


その時間が終わると行動パターンが変わって予測不能な攻撃が来る。


私はそれでやられたんだ。


…やられたなぁ。


今回は私の完敗だったな…。


でも次は…負けない。


あれを倒すのは…私だから。


《再戦への執念を取得しました。


幸運の連弓が変形武器魔法:幸へと進化しました。》


《最強種の好敵手を取得しました。》


《前回セーブした地点へと戻ります。》


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