第32話 試練の山と異形の獣

「ここが試練の山かぁ」


私は目の前にそびえたつ大きな山を見上げながらそう呟く。


ここにマザーが言ってた白銀の羽を落とす異形の獣がいるはずなんだけど…


「スノウ。何か反応があったら教えてね。」


「きゅ」


「モココも一緒に頑張ろうね」


「もこ~」


今回はスノウとモココを出している。モノはお留守番。


スノウには周りの敵を探知してもらってモココはレベル上げって感じ。


「よし。いこっか。」


私はモココを抱きかかえてスノウに乗せてもらって試練の山へと入った。


「さて…とりあえずどっちに行こうか…」


山に入ってしばらく進むと分かれ道が見えてきた。


ここまでは一切敵に会わなかったのは不思議だけど…


試練の山って言うくらいだしボス部屋しかないのかも…?


でもなんで分かれ道があるんだろう…?


ここのボスは二種類いるのかな?


とにかくここの選択肢によって戦うモンスターが変わりそうだし慎重に進むべきだけど…


「スノウ。強そうな反応とかわかる?」


「きゅ~~~きゅ!!!!!」


スノウはしばらく悩んだ後、右の道の方を向いた。


どうやらこっちになにか特別な反応を感じるらしい。


それがマザーの言う異形の獣かどうかは分からないけど…。


可能性があるなら進むべきだね。


「よし。スノウが反応した方に進もうかな」


私はスノウが示した方の道へと進む。


するとそこにあったのは大きな鳥の巣だった。


「鳥の巣…?」


明らかに通常の鳥の巣のサイズではない。


怪物の巣と言われれば納得してしまうほどの大きさだ。


そんな巣の中に二つ…白くて丸いものが置かれていた。


「これは…卵かな…?」


何の卵かなのかは分からないけど卵…恐らくこの巣の主が産んだのだろう。


「でも卵を見るとなぜか気になってしまう…」


私は興味本位で卵に触ろうとする。


「ぎゅいいいいい!!!!!!!!!!」


卵に触ろうとした瞬間に私は空中へ放り投げられた。


「やば…!モココ!」


「モコ~」


地面に激突させられそうになったところをモココに受け止めてもらう。


「ありがとう。さてと…いくよスノウ!アイスホーン!」


「きゅううううう!!!!」


私は体勢を立て直すとスノウに攻撃を命じる。


しかし…


「ぎゅい!!!!」


私を放り出した本人であろうモンスターは猛吹雪でこちらの攻撃を吹き飛ばす。


「姿が見えないんじゃ戦いにくい…」


相手は吹雪を操れる上に吹雪で姿が隠されている。


こんな状態じゃまともにやり合えない…。


「どうしよ…スノウも私もこの吹雪を対処できるスキルは持ってない…」


「モコ~」


「モココ…?そっか!モココはウインドメリィだから風が起こせる…!


お願いできる?」


「モコ!」


モココは任せてと頷いてウインドスタンプを地面に叩きこんだ。


すると辺りに風が巻き起こって吹雪を吹き飛ばした。


「敵の姿…見えたよ!スノウ!」


「きゅうううう…きゅ!!!!!」


「きゅいいいいいいいいい」


風に乗ったスノウの一撃が敵の体に叩きこまれて敵は氷漬けになって地面に落ちた。


落ちた敵はそのまま氷ごとポリゴンとなって消える。


《雪に潜む異形の獣をクリアしました。》


そんなアナウンスと共に目の前にひらひらと一枚の羽が落ちてきた。


それは銀色の綺麗な色をしている。


「これが…白銀の羽…なのかな?」


普通の隠しボスにしては強い気がしたし多分あれがマザーの言っていた異形の獣だったんだろう。


実際にクエストクリアの表記も出てるし。


「さてと…次がラストだね…。」


私は最後の素材を探すため大きな一角獣を探しに行くのだった。



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