第94話 第七回イベント 白熱の第二回戦

『第二回戦は第一回戦で生き残った選手たちによるトーナメント戦!


会場はこちら!』


ふりりんがそう言うと三つのバトルロワイヤルの会場が一つの大きなバトルフィールドへと変わる。


『続いて選手の紹介だよ!


第二回戦第一試合!!!


Aブロックを勝ち残ったのは…圧倒的力で全てを制圧した最強の魔王!


その力は他のブロックの猛者たちも蹂躙してしまうのか!


それとも止められてしまうのか!?


最強のモンスターテイマー…ユズ!!!!!』


なんだろう…この絶対に喜んではいけないと思う紹介は。


まぁいいんだけど…。


『そして対する対戦相手は…えっと…まぐれで第一試合Bブロックを勝ち上がった剣士のクロッツさんです。』


「俺の紹介雑じゃね!?」


『さぁ!勝つのはどっちだ!』


「無視かよ!」


ふりりんは文句を無視して実況を進行する。


まぁ…なんか可哀想だけど私には関係ないな。


「…まぁいい。ここでお前と戦えるのは好都合だ。」


「ん?」


「さっきの妖精…ユニーククエスト絡みだろ?」


「だったら?」


「俺が勝ったらそのクエストの発生条件を俺に教えろ」


「それ、私にメリットなくない?」


「お前へのメリットならある。


お前が勝ったら俺が知っているユニーククエストの発生条件。


それを教えてやる。」


「あなたの?」


「条件だけなら知っているものがあるんだよ。


お前は聞いたことあるか?


《深淵に眠る暗黒の餓狼》ってクエストを。」


「…聞いたことないけど。」


「俺の仲間の話じゃこいつは厄災のモンスターと戦うクエストらしい。


厄災と呼ばれる最強の十二体のモンスター…そのうちの一体。


アビスフェンリルとよ。


「アビスフェンリル…」


「どうだ?いい条件だろ?お前の情報とも釣り合ってる。」


まぁ確かにユニーククエストに対して相手もユニーククエストの情報…。


条件は釣り合っている。


「分かった。その条件で戦おう。」


「成立だな。」


『話し合いは終わりましたかー?』


「うん。」


「問題ないぞ。」


『では位置についてください!』


私とクロッツはお互い指定位置に着く。


『試合開始!!!!!』


「先手必勝だぜ!」


「…甘いね。」


私は切り掛かってきたクロッツをひらりと躱す。


「…仕掛けはその羽か」


「さぁどうだろうね?」


まぁ合ってるけど。


この羽のおかげで私は素早く動けてるわけだし。


「今度はこっちの番。帝王の威圧!!!」


「!?体が動かねぇ!?」


帝王の威圧はフェアリアで手に入れたピアレイが落としたドロップに付いていたスキルだ。


効果はピアレイもやっていた攻撃の打ち消し。


それと今やったように相手の動きを一時的に止めることが出来る。


「大剣。これで私の勝ちかな?」


「テイムモンスターを使わずに勝とうとするなんてとんだ舐めプかましてくれたじゃねえか。」


「まだ立つんだ。」


「テメエは俺が倒す!!!カウンタースパイラル!!!!!!」


「…!カウンター!」


「これは相手が与える予定だったダメージをそのまま相手に与える反撃スキル!!!


これで終わりだぜ!!!」


「…お見事だね。だけど…私はテイムモンスターを出さないとは言ってない。


紺!」


「はい!」


「っ!見たことあるぜ…そのテイムモンスター…狐になるんだろ。」


「ネタは割れちゃってるか」


「過去のイベントの映像を見たからな。」


「なら…能力も知ってるかな?」


「…まさか!」


「正!解!」


私はクロッツの後ろに回り込んで大剣を振り下ろす。


「…勝てねぇ」


「私の…勝ち!」


私の一撃はクロッツを切り裂きポリゴンへと変えた。


『試合終了!!!!!!勝者はユズ選手!!!!!!』


試合終了の合図とともに歓声が沸き上がる。


…焦った!!!!


カウンターされたときにはもう負けたと思った…。


咄嗟に紺のスキルで幻影を作ったから良かったけど。


「勝てなかった…お前ほんとにテイマーか?」


リスポーンしたクロッツがこちらへ近づいてきた。


「テイマーでも自衛の手段はいるでしょ。」


「それの域を越えてんだよ」


「そうかな?」


「…あと試合中は悪かったな。荒々しくなっちまって。」


「謝るようなことじゃないでしょ。」


戦いのときだけ性格が豹変するキャラって割といるし。


「…約束だ。アビスフェンリルのクエストを発生させる条件を教える。


ただこれは極秘の情報だからな場所を移動するぞ。」


「分かった。ふりりん。ちょっと席を外したいんだけど。


次の試合開始はいつから?」


『ユズさんが出る第三回戦は一時間後だよ!』


「ありがとう。」


「十分もあれば終わる。」


私達は


「狼系統のモンスターを100体討伐後に深夜にフィールドに出る。


そうするとアビスフェンリルが襲来する…と。」


「狼系のモンスターを100体以上…」


簡単な条件じゃない。


それに深夜って言うのが分からない表現だ。


「このゲームには深夜の時間帯はないはずだけど…」


「一か所だけ常に深夜の場所が存在する。


それが深淵の迷森だ。


一度入ったら死ぬまで出られないって言われてる。


そこで戦闘が起こるんだとよ。


弱点とかそこら辺は分からん。


それは自分で何とかしてくれ。


俺が知ってるのは戦闘に入る条件までだ。」


「ありがとう。それまで分かれば十分だよ。」


「…俺はこれで行く。」


「フレンド登録しないの?」


「それはお前に俺が勝ってからだ。次は負けねぇ」


そう言ってクロッツは去っていった。


『そろそろ第三回戦を始めるので選手の方はあつまってくださーい!』


「さてと…私も戻らないと」


私はクロッツとの話を終えて会場へと戻るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る