第67話 着ぐるみとクマ

占い屋を後にした私は聞いた情報を頼りに試練の館へと来ていた。


「ここが試練の館…普通の建物みたいだけど…?」


「くぅ」


「前に突っ立ってても迷惑なだけだし…入ってみようか」


「くぅ~」


見てるだけでは何も分からないのでとりあえず中に入ることにする。


「お邪魔しまーす…」


「やぁやぁいらっしゃい!ようこそ試練の館へ!」


「クマ…?」


中に入るとクマの着ぐるみが話しかけてきた。


もしかしてこのクマがここの主だったりするんだろうか?


「もしかして…」


「私はただの着ぐるみ好きのバイトだよ。これもクエストなの。


このクエストを終わらせたらこの着ぐるみくれるっていうからやってるの。


だからあんまりこれは気にしないでね。


あ、私は案内係のイズ。さっきも言った通りここのバイトね。」


「私はユズ。この子はモノ。よろしくねイズ。」


「うん。よろしく。ユズちゃん。」


「うーん…」


「どうしたの?」


「いや声も名前も私のお姉ちゃんに似てるからもしかして…と思ったけど…」


確かお姉ちゃんおっきいグループのリーダーやってるって自分で言ってたはずだし…


バイトなんてしてるわけないか。


「多分他人の空似ってやつだよ!」


「そっか…そうだよね。」


「…とりあえずここのマスターのところへ案内するね!」


そう言われてイズに案内されたのはただただ広い部屋だった


「師範さーん!挑戦者さん連れてきましたよー!」


「うむ。ご苦労じゃ。仕事に戻ってくれ。」


「はーい。じゃ。またねユズちゃん。」


イズは私に軽く手を振ると自分の仕事へと戻っていった。


不思議な人だったな…。


「改めてようこそ挑戦者。私の名前はゼアン。


ここの道場で師範をしている。気軽にゼアンと呼んでくれ。」


「じゃあゼアンさんで。」


「…まぁそれでいいだろう。それで挑戦者…ユズと呼ばれていたか。


ユズは何をしにここに来た?道場破りか?それとも修行か?」


「道場破りも気になるけど…今回はこの子の特訓を」


「モノクロームグリズリーか…中々珍しいモンスターを連れているな…


む?そやつ…特殊な成長が出来るようだぞ。


付いてきてくれ。」


そう言われて奥の部屋へと向かうゼアンさんに付いていく。


通されたにはクマの銅像と大きなクマがいた。


あれは…本物?


にしては大きすぎない…?


「こいつは私の相棒のゼータだ。君たちの相手をしてくれる。」


「はぁ…それでゼアンさんここは何する部屋なんですか?」


「君たちにはここで己の真の力を引き出す鍛錬をしてもらう。


条件は一つゼータに勝つことだ。


では私は外に出ているので終わったら声を掛けてくれ」


そう言ってゼアンさんは出て行ってしまった。


おまけに鍵も掛けられて。


「やるしか…ないかぁ」


「くぅ!」


私達は強くなるべくゼータに挑むのだった。



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