第52話 久々の再会とアーティファクト

「こんにちわー」


「ん?おお。ユズちゃんか。久々だな。」


「ユズさん!お久しぶりです!」


工房に着くとロゼアさんとシェルナが出迎えてくれた。


二人とも変わりなくて安心した。


まぁゲームだから変わることはないんだけど…。


「久しぶり。今日はロゼアさんに頼みたいことがあってきたの。」


「俺に?」


「前に進化のアーティファクトを貰った時に見せてもらった龍殺の剣って新しく作れないかな?」


「ドラゴンにでも挑む気か?」


「まぁそんなとこ。」


正確には蛇なんだけど…まぁそこはなんでもいいや。


シンシアもドラゴンって呼ばれてるって言ってたし。


「作ってやりたいところだが…あいにく材料を切らしててな。


悪いな。」


そう言ってロゼアさんは謝ってくる。


「材料がないなら仕方ないよ…ちなみにだけど材料って何がいるの?」


「足りないのは高位ドラゴンの体の一部だ。あれはドラゴンの力でドラゴンを切る剣だからな。


ドラゴンの素材が必要なんだよ。」


「高位ドラゴンの一部かぁ…何かか…あ!」


「どうした?」


「私、前にエンシェントドラゴンからウロコを貰ったの。使えないかな?」


「エンシェントドラゴンのウロコだと!?」


ロゼアさんは凄く驚いた顔をする。


このウロコ、そんなに珍しいものなのかな…まぁあのドラゴンさんすごい感じしたし納得かも。


「これなんだけど。」


私はインベントリからドラゴンさんから貰ったウロコを取り出してロゼアさんに渡す。


「これは…本物だ…俺も見るのは初めてだが普通のドラゴンのウロコとは明らかにオーラが違う…!」


「…確かに師匠に見せてもらったドラゴンのウロコとは何かが違う感じがします。」


「どうかな?使えそう?」


「ああ。問題なく使える。凄く貴重な素材だし慎重な作業ではあるが…数時間で出来るからちょいと待っててくれ。


出来たらシェルナに呼びに行ってもらう。そうだな…冬の街辺りで待っててくれ。」


「分かった。」


「あ、あとユズちゃんにこれを渡さなきゃいけなかったんだ。受け取ってくれ。」


そう言ってロゼアさんが渡してきたのは進化のアーティファクト…なのだが…


なんか前のと形が違う気がする…。


「なんか前の時と形違うよね?クマミミみたいなの付いてるけど…」


「ああ…それは…シェルナが間違えて材料にはちみつを使ったらそうなった。」


「ええ…」


「いやぁ…本来使うべき素材が入った瓶の横にはちみつが置いてあったので間違えちゃって…」


「そう言うわけだ。失敗したやつだしお代はいらんから貰ってってくれ」


「そういうことならありがたく貰うよ。じゃあまた後で」


そう言って私はアーティファクトをしまって工房を後にした。

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