第84話 妖精の統べる国⑦
『…そうですか。そんなことが…』
私は女王様にクエストクリアの報告と一緒にさっき起こったことを報告する。
「心当たりがあるの?」
『…ええ。昔…ずっと昔に息子を一人亡くしてしまったことがあります。
妖精の雄は産まれる確率が限りなく低くて寿命が短い上に病気になりやすいんです。
私の息子も病気で亡くなって…。
それで森の中に埋葬したのです。
捨てたつもりはなかったのですがそんなことになっていたなんて…』
「闇に心を支配されていたみたいだったから女王のせいじゃないよ。
それに最期はいい笑顔だったよ。
あ、はいこれ。ピアレイが倒れた時に落としたもの。
女王が持っておいた方がいいと思って。」
私はピアレイが落としたドロップアイテムを女王に渡す。
ピアレイが付けていた薔薇の形をしたヘアアクセだ。
ピアレイは胸元に付けてたけど。
確認したら分類としては頭に付ける装備品だった。
まぁ多分敵限定のやつとかそんな感じかな。
『これは…いいえ。これはユズ様が持っておいてください。』
「…いいの?」
『ええ。確かにあの子の忘れ形見を手元に置いておきたい気持ちはあります。
ですがユズ様に使っていただいた方が有効活用できるでしょう?』
戦闘向きじゃない女王様が持っているより私が使った方がいいって言うのは確かに一理はあるけど…
「ほんとにいいの?」
『ええ。』
「じゃあ…大切に使わせてもらうね。」
そう言って私は今の装備を外して髪にアクセサリーを付ける。
『とてもよくお似合いです。』
「ありがとう。じゃあ私はこれで…」
『ちょっと待ってください。』
「ん?」
『まだ問題解決のお礼を渡していませんでしたので。
これをお受け取りください。』
「これは…ドレス?」
女王様がお礼として渡してきたのは白を基調にして色とりどりの花が装飾されているドレスだった。
『それは妖精姫のドレスです。きっとユズ様のお役に立つと思いますよ。』
「ちょっと確認…」
そう言われて私はとりあえず詳細を確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーー
妖精姫のドレス
妖精の国の女王が一から作り上げたお手製品。
国を救ってくれた感謝の気持ちと親愛の気持ちが込められている。
プレイヤーのもっとも高いステータスを2倍にする。
固有スキル:フェアリーオブジャッジメント
前方広範囲の敵に聖なる刃を浴びせる。
威力はそのプレイヤーの最も高いステータスと同じになる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
なるほど…確かに火力補強にもなりそうだし。
スノウたちが苦戦してる時に援護射撃も出来る…。
これはいいかもしれない。
そしてなにより可愛いしおしゃれ!
「ありがとう。大事に使わせてもらうね。」
『ええ。万が一破れたら私のところに持ってきてくだされは直しますので。』
「それじゃあ今度こそ私は行くね。」
『ええ。ユズ様。また会いに来てくださいね。』
「アルラとルシェリにもよろしく伝えておいてね。」
『…ええ。アルラには伝えておきますね。』
「…?まぁいっか。じゃあまた」
私はそう言ってフェアリアを後にするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます