第13話 孵化装置と初めてのフレンド

洞窟から帰った私はモモのホームであるモンスターファームにお邪魔していた。


中はすっきりとしているがとても可愛らしくなっている。


「まだ来たばかりであんまり物はありませんが…あ、お茶とお菓子どうぞ」


「ありがとう。これ自分で作ったの?こんなこともできるんだね。」


モモが出してくれたのはリアルとほとんど大差ないレベルのクッキーと紅茶だった。


お菓子はあんまり作らない私から見てもすごい出来だ。


見た目もリアルとほとんど変わらないし……


「料理スキルを取ったんです。凄いですよね。ほんとにリアルみたいに作れて。味もそのままなんですよ。」


「頂きます…ほんとだ。おいしい。」


「ありがとうございます!」


その後しばらくクッキーを食べながらお喋りした後、本題に入る。


「それで…孵化装置の件なんだけど…」


「あ、そうでした!すみません。お喋りが楽しくてつい。


孵化装置がある場所に案内しますね。」


そう言って部屋を出たモモの後を私も付いていく。


付いて行った先にあったのはとても大きなカプセルだった。


「ここに卵を置いてください。」


「こうかな?」


モモに言われた場所に卵を置く。


置かれた卵はカプセルの中に入ってそこに不思議な液体が注がれる。


「はい。次は…マグちゃん!出てきて!」


モモは先ほどのマグマリザードを召喚してカプセルの横の機械のコンセントをマグマリザードにくっつけた。


「これで準備は完了です。あとはリアルの日数で一週間ほど待てば孵るはずです。」


「結構時間かかるんだね…。」


「ベータ版の時にあったもっと高性能なものなら3日とかで孵せたんですけど…


今手に入る素材では駄目ですね…。


ホワイトグリズリーの爪さえ手に入れば…」


「それなら私持ってるよ。」


そう言うとモモは驚いたような顔をする。


私、変なこと言ったのかな?


エリアボスを突破したときに他の素材と一緒にアイテムボックスに入ってたんだけど…。


「あれって超低確率レアドロップですよ!?100回戦って一回落とすか落とさないかっていう。」


そんなにレアだったんだ…もしかしたらLUKを極振りしてる影響なのかも。


でも持ってても私には使い道ないからなぁ…。


「これはモモにあげる。」


そう言って私はホワイトグリズリーの爪をモモに渡す。


「いいんですか!?お返しできるようなものはあんまりありませんけど…」


「うん。私には必要のないものだし。」


「ありがとうございます!お返しになるかは分かりませんけど…これをどうぞ。


スノウちゃんも一緒に食べられるお菓子です。」


「ありがとう。あとで頂くね。あ、そうだフレンド登録しておかない?」


「そうですね。フレンドになっておけば卵の状態もお伝えしやすいでしょうし。」


そう言って私達はフレンド登録をした。


モモが私にとっての初フレンドになった。


「じゃあ私は行くから卵のことお願いね。」


「はい!また一緒に探索行きましょうね!今度は私も戦えるテイムモンスターを連れていきます!」


「うん。楽しみに

してる」


モモに手を振ってモンスターファームを出る。


「スノウ。レベル上げしに行こっか。」


「きゅ!」


「上げる場所は…さっきの虚の洞窟がいいかな?


暑すぎるとスノウが戦いにくいだろうし…


あ、そう言えば子熊の名前も決めないと何だった…。


まぁそれも洞窟でしようかな?」


子熊の名前決めとそのままレベル上げを行うべく私は先ほどの虚の洞窟へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る