第44話 隠しボス 魔神王戦

「ここが魔神王(分身)分身がいるっていう宮殿か…」


色欲の悪魔を懲らしめた私は屋敷の奥の転送陣を使い、魔神王がいるという宮殿に来ていた。


「たのもー!…なんて言ってみたけど返事なんて返ってこないか」


扉を壊して中へと入る。


中は結構広くなっていて変なにおいが漂っている。


あんまり長居はしたくないからさっさと終わらせたいところだけど…。


どこに魔神王はいるんだろうか?


「スノウ。ここで強い反応を探して。」


「きゅ…きゅ!」


「あそこにいるのね…いかにもって場所だね…。」


スノウが示した先には大きな扉があった。


ラスボスの部屋の扉みたいな感じの扉だ。


まぁここに魔神王がいるんならラスボスの部屋に違いないんだろうけど。


「よし。突入!」


『我が領域に無断で侵入することは何事か?』


「あんたが魔神王?」


『いかにも。貴殿の名も聞こう。』


「私はユズ。冒険者ってところかな。あんたを討伐しに来たの。


とある人の依頼でね。」


『我を討伐に…なぁ。今までもそう言って多くの冒険者が来たが…


我には敵わずに散っていった。


貴殿は…強い気配はないな…そっちの一角獣からはとてつもない気配がするが。』


「まぁ所詮私はただのテイマーだからね。」


『貴殿では絶対に我には勝てん。それでもなお我とやるか?』


「まぁ助けなきゃだからね…私が勝ったら今まで贄にされてきた人たちを返してもらうよ」


『なら我が勝てば貴殿の目の前で贄を全て吸収して絶望したところを貴殿も吸収させてもらおう。


貴様の一角獣をわがものとしよう。』


「スノウは私のだから。誰にも渡さないよ。」


「きゅきゅ!」


『では始めようか。暗黒砲!』


「いきなり大技くるね…。モココがいなかったら危なかったよ…」


「モコ~」


モココに壁を張ってもらってどうにか初手の大技を防ぐ。


いきなりあんなの喰らったら死んじゃうからね…。


『一角獣とは違う契約魔獣か…我の攻撃を防ぐとはなかなか。』


「今度はこっちの番。スノウ!ブレイジングホーン!」


スノウが角に炎を纏わせて魔神王に向かって突進する。


『甘い!』


「甘いのはどっちかな?モノ!ファストアタック!」


「くぅ」


『!?』


真っすぐ突っ込んでくるスノウに気を取られていた魔神王はモノの攻撃を予見できなかった。


「ラッキーブラスター!!!!!!!」


『ぐああああああああああ!!!!』


私は裏から魔神王を最大火力で攻撃する。


私がただのテイマーだと油断して後方支援しか出来ないと思い込んで私の攻撃スキルを警戒しなかったことが相手の敗因だ。


いくら高性能のAIで出来ているといっても限界はある。


この職種はこう攻撃してくる…とかいろいろデータとしては入ってるんだろうけど…。


想定外のことは対処は出来ないはず。


『なぜ…魔獣使いが攻撃魔法を…』


「私、攻撃手段ないなんて一言も言ってないから。テイマーだって攻撃するから。」


『貴殿を少々侮っていたようだ…贄はこの部屋の奥にいる…解放するといい…


次に戦う時は容赦はせん…がはっ!』


そう言って魔神王(分身体)は逃げようとしたが急に何かが背中に刺さりそのまま消えていった。


しかし何が飛んできたのは全く分からないのでスルーすることにする。


「確かこの先にいるって言ってたよね。お邪魔しまーす。」


私は魔神王が消えたのを確認すると言われた場所の扉を開いた。


そこには鎖でつながれた数人の女の人がいた。


間違いなくこの人たちが捕まっていた人たちだ。


「誰…ですか…?」


「私はあなたたちを助けに来たの。」


「助けに…ほんとに…?」


「ええ。ほいっと」


私は全員の鎖を切って贄の人たちを解放した。


「これでおっけーかな。」


「ありがとう…その依頼した人にもお礼を言っておいてもらえる?」


「それは自分で行った方がいいよ。彼女…紺もその方がいいだろうし。」


「紺…?あの子は無事だったの!?あの色欲の悪魔になにもされなかったの!?」


「彼女には神社で待機してもらってる。」


「はい。改めて私はツバキ。紺のお父様に養子にしてもらったので紺の義姉ってことになります。


ところでその着物はどこで手に入れたんですか?」


「とある人に貰ったの。娘さんが着なくなったものだからって。」


「そうですか…ちなみにその人は…元気そうでしたか?」


「私を見てよく似合ってるって言ってた。ニコニコしてたよ。」


「ならよかったです。」


「?まあそれは置いといて帰ろうか。立てなさそうな子はスノウに乗せてくから言ってね。」


「ありがとうございます。大丈夫です。」


そう言うとツバキは捕まっていた人たちを連れて転送陣へと向かった。


《魔神王の暗躍①をクリアしました。報酬がインベントリに送られます。


また紺の元へ向かうと何かが起こるかもしれません。》


どうやらこれでクエストはクリアらしい。


紺のところに行くと何が起こるんだろう?


「とにかく行ってみますかぁ」


私は宮殿を出て紺の元へ向かうのだった。









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