第10話エリアボス ホワイトグリズリー戦

「ここが神秘の森…不思議な場所だなぁ…」


神秘の森へと着いた私はスノウから降りて森の中を歩く。


見たところ平和そうだしエリアボスなんて見当たらないけど…。


「スノウ、何か感じる?」


この前の泉の精さんの時みたく何か感じ取るかもしれないからね…。


「きゅ!」


しばらく周りをきょろきょろしていたスノウは何かを感じたように歩き出した。


もしかしたらエリアボスを見つけたのかもしれない。


とりあえず後を付いていく。


スノウの後について歩いていくと大きな空間にたどり着いた。


「広い場所に出た…でも何もない…ん?小熊…?」


何かないか辺りを見回していると奥に一匹小熊が座っているのを見つけた。


いかにも怪しい感じがするけど…。


「あのフワフワ具合…テイムしたいなぁ…」


ぬいぐるみのようなフォルムにフワフワそうな毛…あれはぜひともテイムしてモフモフしたい。


「試しに一回だけ…テイム!…だめかぁ」


ダメ元で一回だけテイムをしてみるが弾かれてしまった。


まぁ予想してたんだけど…。


「ん?グラグラしてる…?」


小熊のテイムが失敗した次の瞬間、森がグラグラと揺れ始めた。


「これってもしかして…」


「きゅ…?」


「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA‼‼」


そして現れたのは大きな目の赤い白熊だった。


「やっぱりお出ましだねエリアボス…!」


どうやらさっきの子熊に何かすると怒って出てくるようになっているらしい。


とりあえずステータスを確認してみる。


ーーーーーーーーーーー


ホワイトグリズリー


神秘の森を守っている


森の守護獣。


子供を襲うものには容赦しない。


ーーーーーーーーーーー

まぁあれ見たら襲ってるって思われても仕方ないか…。


とにかく戦わなきゃ。


「スノウ!サークルブリザード!足を狙って!」


「きゅう!」


スノウに足を凍らせてもらって熊の動きを止める。


「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA‼‼」


ホワイトグリズリーは氷を砕こうとするが氷はびくともしていない。


流石スノウの氷…これくらいの攻撃じゃびくともしないね…。


このまま畳みかけちゃおう。


「無駄だよ!ラッキーストライク!スノウ!アイスホーン!」


「きゅうううう!!!!!」


足が凍って動けないホワイトグリズリーに私達は攻撃を集中させる。


「GAAAAAGAAAAAAA‼‼」


「まだ元気そうだね…」


流石エリアボスというべきか…これでも全く倒れない…。


というかHPバーがあんまり減ってない…。


そういう仕様…?それともこっちの攻撃が弱いだけ…?


でも氷で動けないのは相変わらずだし攻撃を続ければ倒せるかも…?


「とにかく攻撃しよう!行くよ!スノウ!」


「きゅ!」


とにかくHPバーを削るために私達は連続で攻撃を仕掛ける。


「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA‼‼」


「うーん。あんまり減ってない…。なにか別の条件があるのかも…なにか…」


これまでのことでヒントを探してみる。


あのホワイトグリズリーは子熊にアクションを仕掛けた時に現れて…


森の守護獣で…。


「子熊だ!」


「きゅ?」


もしかしたらホワイトグリズリーの攻略方法は倒すことじゃなくて怒りを鎮めることなのかも…。


子熊に私達が荒らしに来たわけでも子熊をどうにかしに来たわけでもないってことをホワイトグリズリーに伝えて貰えばいいのかも。


そんなことできるのかって話だけど…やってみる価値はある。


「スノウ。親の方をひきつけられる?」


「きゅ。」


スノウは私の指示を理解したようでホワイトグリズリーをひきつけてくれた。


これで私は子熊の方に集中できる…。


さっきテイムが失敗したのはおそらく戦闘の開始前だったから。


なら…!


「テイム!!!!!!」


私の手から出たリングが子熊の全身を包みそして消えた。


「くぅ」


「テイム成功…かな。」


さっきとは違う反応なので恐らく成功したはず…。


「お母さんに私達は敵じゃないって伝えてきてくれる?」


「くぅ」


子熊は頷くとホワイトグリズリーの元へ向かう。


「くぅくぅ」


「GAAAAAAA…ガァ」


ホワイトグリズリーは子熊の呼びかけで落ち着きを取り戻した。


「ありがとう」


「くぅ~」


《条件を達成しました。第二エリアへの進行が認められます。》


子熊を撫でているとアナウンスが流れて第二エリアに行けるようになった。


「それで…さっきは勢いでテイムしちゃったけど…この子を冒険に連れていっていいかな?」


『ガァ』


「くぅくぅ~」


『ガァ…』


どうやらOKらしい。


「君の名前を決めないとね」


「くぅ?」


まぁとりあえず第二エリアに行ってから考えればいいかな。


とりあえず私は子熊を抱き上げるとスノウに乗せてもらって第二エリアへと向かった。











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