第103話 ゴブリンとの前哨戦 【刈り取り】

軍刀を抜き放つと、棒立ちに成って居るゴブリンの首を刎ね飛ばしていく。

当然、悲鳴など上げさせん。

ヤツ等は自分が死んだ事にすら気付いて居らんだろう。


五匹ほど切り伏せた処で、巻き上がる鮮血とその血の匂いに、ゴブリン共がさらに慌て始め、ギャーギャー!と奇声を上げ始める。

アレは、ヤツ等の言葉……とも思えんな、猿が鳴き喚くのと差して違わんだろう。


どうやら、隠身かくりみは解け、奴等もワシに気付いた様だ。

バン、バン、バン!


ワシに銃を撃って来るものも居るな。

だが到底、銃を使いこなしているとは言えん。

てんで、的外れだ。


「成らばワシも、派手にやらせて貰おう」

軍刀を左手に持ち替え、右手で十四年式を抜く。

そして、コッキングノブを歯で噛んで引っ張り、装弾する。

鉄の味が口に広がる。


そして、さっきワシに銃を向けたゴブリンに、素早く照星を合わせて引き金を引く。

パン!

額を撃ち貫かれたゴブリンが、そのまま仰向けに倒れると、そのゴブリンが持っていた銃を別のゴブリンが拾い上げ、撃って来る。

バン、バン、カチャ、カチャ!


どうやら、弾切れと言う事が分ってらんらしい。

そのゴブリンに歩み寄り、軍刀を振り下ろす。


ターン、ターン!

向こうからも銃声。

どうやら、ジム達も始めたらしい。


「さて、ワシも刈り取りを続けよう」

パン、パン!とゴブリン共を撃ち殺し、ザク、ザク!と切り殺す。


うむ、今まで、黒の森とやらで狩って来た魔物どもや、先日のオーガに比べると、何とも歯ごたえが無いものだ。

どうせなら、そのレッドキャップとやらを刈り取るとするか。

辺りを見回す。


居た、赤い頭だ!


だが未だ距離がある。

パン、パン!

ゴブリン共を撃ち殺し、切り殺しながら赤い頭を目指して走る。


ふと、激しく撃ち合っているジム達の方に目をやる。

ズドン!

ジムの銃が的確にゴブリンの頭を射抜く。

相変わらず見事な物だ……ん?


ジムが、その撃ち殺したばかりのゴブリン目掛けて走り出す。

ん、なにをする積りだ?

フッ、ゴブリンの持っておった銃を拾いおった。

バン、バン、バン!

その銃で、三匹のゴブリンを射抜いて、またそのゴブリンの骸が手にする銃目掛けて走り出す。


そしてまた、その銃を拾い上げ引き金を……が、弾が出ん。

どうやら動作不良の銃を拾い上げたらしい。

「はぁ~、何をしておるのだ……」

で、ズドン!と自分の銃で別のゴブリンを撃ち殺して、また銃を奪う。


ハハハ、しかし、成るほどな、銃を借りる当てとか申しておったが、そう言う事か。

それにしても……なんちゅう戦い方をしておるのだ。

まったく、器用な男だ。

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