第37話 イカサマの権能 その2

種は簡単な話だ。

ワシ自身にザミエルの魔弾を付与したのだ。


この権能は確率を操作する権能。

ギャンブルで使えば、七回に六回の確率でワシが勝てると言う物だ。

まあ、ギャンブル的にはあり得ん勝率だな。

まったく、この権能の仕組みはワシも良く判らん。

ただ、そう言うモノとしかな。

因果律を操る権能。

まあ、使い勝手は悪いが……ある意味、ワシの扱える権能で、最強クラスの権能とも言える。


だから下手に、カードを手にしたりする必要も無い、単に運を天に任せれば良いだけの事だ。

ただ、欠点が無いわけでも無い。

必ず七回中一回は負ける事に成る。


現に、二戦目は負け、十ドル差し出す事に成った。

だが……ワシは運が良い。

二度目に負けたと言う事は、即ち、残りの五回は必ず勝つと言う事だからな。


その後、勝ちの決まっているワシは大きくレイズし、三戦目は百五十ドル、四戦目は百二十ドル勝つ。


そして、五戦目。

「さて、レイズだ。オールイン」

金貨と銀貨の詰まった袋、それと、コイツらから巻き上げた金貨、恐らく全部で五百ドル前後に成る金額だ。


「ふ、ふざけやがって!さっき負けたのにいい度胸じゃねえか!コールだ!」

ウーゴと言う男が乗って来た。

当然、他の二人は降りる。


奴は、カードを配る時、自身にはワシやジムをハメ様とした時同様、手にしたカードの山の下から配っておった。

ワシのオールインに乗るからには、余程自信の有る役を仕込んでおったのだろう。

だが、無駄だったな。


ワシが、目の前の手札を一枚づつ開いていく。

ハートの9。

ハートの10。

ハートのジャック。

ハートのクイーン。

そして……。

「ハートのキング。ストレートフラッシュだ。お前さんは?」


「ふ、ふ、ふざけるな!」

ウーゴが手札をテーブルに叩きつける。

「エースのフォーカードか、中々良い手だ。だが、運が無かったな」


「さて、どうする続けるか?」

「ケッ、もうしめぇだ」

ウーゴが有り金全てを叩きつける様にテーブルに置き、三人は立ち去ろうとする。


「おいおい、ウーゴって云ったか。全然足んねぇだろ。腰のも置いていったらどうだ」

ジムにそう言われ、しぶしぶガンベルトごとテーブルに置いて立ち去る。


成るほど、ジムは抜け目が無い。

敵に回るかも知れん銃を一丁押収したと言うわけか。

ん?

それとも、単にイカサマされた仕返しか……?


「それにしても、驚いたぜ、まったく……。一体どうやったら旦那みたいに、一度もカードを見ないで相手の身ぐるみを剥がせるんだ?」

「なに、ワシもチョットしたイカサマを使ったのさ」

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