第137話 飛び立つ、小鳥?
うむ、忘れておったわけでは無い。
ウィルオウィスプを初めて召喚した時と同じ現象だ。
「で、旦那、まさかソイツに空から探させようって……?」
デカラビアは
故に、その眷属の小鳥を使って、空から三か所のアジトを偵察させようと召喚したのだが……。
「やはり、召喚魔法は未だチト早かったか……」
悪魔本体の召喚は、未だ当面無理そうだな。
「まあ、成りはデカいが、空さえ飛べれば偵察に使える……筈だ」
試しに、スズメに上空を旋回する様に命じてみる。
「チュン!」
と、ひと鳴きし、翼を羽ばたかせると……やっぱり飛べんか。
「ああ……旦那?」
「はぁ~……言うな……」
本来、自我なぞ持たん召喚されたばかりの使い魔だが、それでも、鳥としての矜持が許せんのか、チュンチュン鳴きながら羽を羽ばたかせておる。
「そう言えば旦那、飛び上がるのが苦手なアホウドリは、助走して飛び立つって聞いた事が有るぜ」
「うむ、成るほど、試してみるか」
そして、スズメにそう命じると、数十メートルほどの助走で、どうにかその重い体を空に舞い上げる事が出来た。
一度空に上がれば、安定した飛行をする。
まあ、これならば、どうにか役目を果たせそうだ。
他の二つの魔法陣にも魔力を注ぎ込み、更に二羽のスズメを召喚、南西の廃砦、南東の牧場跡、東の峡谷へと向かわせる。
「それで旦那、この後はどうするんだい?」
「まあ、暫し待つさ。空から偵察させておる。さほど待つことも有るまい」
だが、無為に時を過ごす事も無い。
時間は有効に使わんとな。
ジムが持って来た得物は、いつものコルト、それと取り回しし易い様に銃身を短くしたウィンチェスターライフル。
ゴブリンとの戦いで使い捨てにしておったパーカッションや、たすき掛けにしておったガンベルトは置いて来た様だ。
さすがに、邪魔だからな。
だが、コルトで六発、そして、ウインチェスターで十四発。
合わせてニ十発、
つまり、ジムの場合は二十人の命を奪えると云うことだ。
まあ、こ奴なら十分だろう。
それに、仮に必要なら、こ奴なら敵から調達するだろうからな。
で、ワシの方はいつもの軍刀と、いつもの十四年式拳銃。
十四年式の弾倉は小の刻印の物が、銃に差して有る物と予備の物、合わせて三つ。
二十四発に成る。
まあ、これも十分とも思えるが……。
「もう一つ武器が欲しい処だな」
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