第101話 即席のブリーフィング

どのみち、このまま睨めっことは行くまい。

成らば……。

此方こちらから仕掛けるか。だが、アレがワシらを誘っておると云う事なら。伏兵はおるだろうがな」


「ケッ、伏兵とか関係無えぜ。俺が皆殺しにしてやんよ♪」

そう粋がるクライドの頭に祖父の拳骨が落ちる。

こ奴、ギデオンがらねば早死にしそうだな……。


「で、スマンがワシは集団戦闘は苦手でな」

基本的に自由気ままに戦うのが、ワシの流儀だ。

「ジム、ここから先は、お前さんに指揮を頼みたいのだが?」

何しろ、大佐と言う地位で指揮を取っておったらしいからな。

本職の者に任せるのが良かろう。


「ハァ~、しゃぁ無い、いいぜ。そうだな……」

ジムは、ワシらを見渡す。

「レナード、それと坊主は……」

「坊主じゃ無え!ガキ呼ばわりすんな!」


「ははは、良いぜ、その意気だ♪二人は後方から援護してくれ。レナードはスコープ付きのヘンリーに、坊主……おっとクライドはウィンチェスターを持ってる。俯瞰ふかんしてソイツで狙撃してくれ。特に飛び出してきた伏兵をな。それとレナード、クライドの面倒を頼む」

「ああ、任せろ」

レナードは即答で頷き、クライドはまだ子ども扱いをされている事に憮然としながらも頷く。


「それで、私達はどうするのです?」

ホバートが尋ねる。


「オレとお前、それと爺さんは、あの中に突っ込むのさ。見た所二人とも腕は立ちそうだ。多少伏兵に囲まれたってどうって事無いだろ」

「ははは、炎龍殿の指揮は中々大胆ですな。まあ、伏兵は居るかもしれんが、さほど多くは無かろう。力押しは儂も嫌いでは無い。良かろう承知した」

そう、ギデオンが頷き、ホバートは肩をすぼめつつも同意する。


「それで、ワシは?」

「旦那には、奴等の後方を攪乱かくらんして貰いたい。まあ、突っ込むったって、馬鹿正直にヤツ等が待ち構えてるど真ん中にのこのこと、なんて分けには行か無えからな。それに、旦那もそう言うの十八番オハコだろ。何度か一緒に戦ってきたが、どうやってるか分から無えが、俺の目でも時折、旦那の動きを見失う時がある。ヤツ等の意表突くなんぞ、旦那なら容易たやすい事さ。違うかい?」


成るほど、つまり、単独でヤツ等の後方に回り込み、好きにしろと。

フッ、なかなかどうして、いつもは飄々ひょうひょうとしておるが、さすがは大佐殿と言ったところか。

的確にワシの使い処を把握してる。


ともかく一人で動けるなら、やり易い。

「うむ、承知した」

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