第100話 ゴブリンの斥候?

「で、斥候の数は?」

「正確な数は分からないのですが、約三十体ぐらいじゃ無いかと」


ケニーがワシのそう答えた時、向こうから、もう二騎こっちに来る。

先行していたギデオンとその孫のクライドだ。

何やら険しい表情をして居る。


「どうした?」

「ドウマ、厄介な相手かも知れん」

「ああ、それは今ケニーから聞いた所だ。レッドキャップとか言う知性の高いゴブリンが居るとな」

「だが、それだけじゃ無い。ヤツ等、銃を持ってやがった」


成るほど、まったく厄介な事をしてくれる……。


「おいおい、ゴブリン共が銃なんて扱えんのか?」

「いや、そうじゃ無えレナード。銃なんて撃つのは簡単な物さ。撃鉄を引いて引き金を引けば良いだけだ。知性を多少なりとも必要とするのは弾を込める事さ」


「ハハハ、じゃあジム何か?わざわざ、誰かが銃に弾を込めてゴブリン共にプレゼントでもしたってのか。そんな馬鹿な事をする奴なんて……ハッ!」

どうやらレナードも気付いたらしい。


「例の何とか一家いっかがヤツらに銃を!?」

「そう言う事だレナード」



ギデオンの案内で、ゴブリン共が潜む岩場を、此方こちらも岩陰に潜んで遠巻きに眺める。

一応、作業を手伝おうと南側で待機していた住民は、既に彼が避難させている。


中々、手際の良い御老人だ。

ワシが言うのも何だがな。


ギデオンが懐から小さな望遠鏡を取り出し覗いておる。

「うむ、見た所……そうだな三十二、いや三十四と言ったところか。見えとるヤツはな。岩陰に、もう何匹か隠れとるかもしれんが。どうするドウマ?」


ワシの目でも、ゴブリン共の姿がちらほら見える。

距離は二百五十メートルほど先か。


思いの外統率が取れておるな。

それも、あそこに見える赤いヤツに寄るところか……だが……。

「それにしても、妙だな」

「何がだい、旦那?」


「何故ヤツら、仕掛けて来んのだ?」

「ソイツは奴らが偵察に来ただけって事じゃ無えのか。せっかくの罠をジッと覗かれるのは、あまり良い気はしないが」


「偵察か……にしては、重武装だ。ワシの目にも奴らが銃を持っておるのが見える。ヤツら皆が持っておる分けでは無さそうだが、それでも、ライフル迄何挺か持っておる様だ」

「そう言われれば確かに、あの小さな体にライフルは大きすぎる。そんな邪魔な物をわざわざ持って、偵察するだけって事は無え……とすると……」


「フッ、それに、これ見よがしでは無いか?あの小さな体ならもう少し上手く、岩陰に潜めよう」

「成るほど罠か、ドウマ」

「罠って爺ちゃん?」

「ヤツら、儂らを誘っておると云う事だ、クライド」


「それで、如何どうします?」

ホバートが、相変わらずいびつな笑みを浮かべて聞いて来る。


「うむ、そうだな……」

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