<帰郷>

第46話 面倒な作業

ワシとジムを残し、馬車は少し離れた所で一旦キャンプを張る。

何しろ、未だ夜も明けておらん。

乗客も馬も、休養は必要だ。


だが、ワシとジムは、面倒な作業が残っておる。

盗賊共の後始末だ。

約三十人分の魔力結晶を取り出す作業……なかなか骨が折れる。

まあ、これもこの世界の掟として義務付けされている以上、已むを得まい。


正直、半数ぐらいは、生かして逃がした方が楽だったかもしれん。

いささかやり過ぎたか……次は自重するとしよう。

もっとも、覚えていればの話だがな。


その後も、戦利品の回収と、遺体の始末で気が付けば、朝日が昇り始めている。

遺体の始末と言っても、さすがに埋める様な手間を掛けたりはせん。

街道の通行の邪魔に成らん様に、脇に放置するだけだ。

ジムいわく、数日もすれば、コヨーテが綺麗に片づけてくれる、との事だ。


戦利品は金貨と銀貨合わせて約六百ドル余り、それと、使えそうなカービン銃が二十五挺、拳銃が三十三挺。


「で、ジム、取り分の方だが、ワシが二百、お前さんが二百、残りは……」

「タッドの上さんに、だろ。ホントに良い奴だぜ、旦那は♪」

まあ昨日も散々、奴らから搾り取ったからな。

当面、金に困る心配も無い。

少々、香典を奮発した方が、厄払いにも成ろう。


問題は、銃の方だ。

トマスに商談を持ちかけてみたが、さすがに支払う持ち合わせが無いと言う。

ただ、ヌアザまではあと少し。

明日のまだ日の明るいうちに辿り着くだろうから、ヌアザで売却先を見つけてはと、助言してくれた。

已む無く、トマスから分けて貰った大きめの布袋に、戦利品の銃を詰め、ワシに切り殺されず無事だった三頭の馬の背に分けて乗せ、ヌアザに向かう事にする。



何も無い荒野を只進む。

さすがに、そう何度も危険にさらされる事も無い。

馬車は順調に進んでいく。


そして、翌日の昼下がり、遠目に町の姿か見えて来た。

この世界に生まれ落ちて、二つ目の町だ。

まあ、ニーリーの様な事も無かろう。

暫し骨休めをしたい物だな。

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