第97話 荒野に火を放つのさ
「なに変な声を出しておる。
せっかくだ、ゲティスバーグの炎龍の名は有効利用せんとな。
指揮が上がれば、混乱も最小限にとどめる事が出来る。
そして、人も
「ヘイヘイ」
そして、ため息を一つ付くと、ジムの目付きが変わる。
「で、旦那、その策ってのを聞かせてくれ」
ほう、口調はさして変わらんが、雰囲気が別物だ。
この男の
伊達に、この年で大佐迄上り詰めたと云う分けでは無い様だな。
フッ、それにしても器用な男だ。
「少々人手と、時間が掛かる策なのだが?」
「人手なら、
「ほう、それは、威力偵察か何かか?」
「いや、さっきも言ったが、ヤツ等にはそんな知性は無い。そう言う習性だそうだ。ま、その習性が、実質戦術にかなうモノに成ったと云う事らしい。まったく厄介なヤツらさ」
「で、旦那?」
「うむ、さっきも言ったが、火責めだ。そのゴブリン共とやらを焼き払う」
「おいおい、旦那、まさか町ごと焼き払おうってんじゃ……」
「そんな訳無かろう。町を守る為に町を焼き払うなぞ、本末転倒だ」
「それじゃ旦那、何処に火を放つってんだ?こんな荒野の真ん中にある町で……」
「フッ、なに、その荒野に火を放つのさ」
ジムやオーウェン達を引き連れて、廃坑へと向かう。
そして、昨日錬成した大量のソレの前に。
「旦那、これはいったい……」
「ま、見ての通り樽だ。大体三百ほど有る」
そう、昨日錬成した物は、何の変哲も無い単なる樽だ。
「コイツに原油を詰めて、荒野にまき散らす」
「確か、この原油ってのは、火を着ければ燃えるって言ってたな。って事はそれで、ゴブリン共を。だけど旦那、どうやってその罠にゴブリン共を誘い込むんだい?」
「そうだな……オーウェン、そのゴブリン共はいつもどの方向から攻めて来る?」
「うーん、必ずと決まっているわけでは無いが、町の南側だ。何しろ、ヤツらの巣がある方向だからな」
「町の南ってぇと……第二鉱山か。成るほど、第二鉱山の露天掘りの廃坑が、まるまるゴブリン共の巣に成ってるって事か。確かに露天掘りの跡って事なら、横穴は掘り放題……ゴブリン共が増える分けだぜ」
「ハァ~、ジム行くなよ」
「ヘイヘイ、オーウェンの旦那」
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