第96話 ワシに少々策が有る
「ジム!マズイ、ヤツを止めろ!」
ジムにしか聞かれない様に、声を押し殺す。
「ん、
「忘れたのか、お前さんの兄の事を!」
ジムの兄は、砦に救援要請が届かない様に、何者かに謀殺された。
ワシはそう睨んで
だとしたら……また同じ様な事が繰り返されんとも限らん。
いや、
ワシの言葉に、ジムが気付きハッとする。
「レナード、ちょっと待った!」
「どうした、ジム?」
「どうしたも何も、お前が砦に向かったとして、その、ハゲだか中佐殿だかが、本当に動くのか?」
「うーーん……そうだな、残念ながら確信はない。もし、本当にそのなんとか
「なら、残って、手伝ってくれ。戦力は一人でも貴重だが、指揮を取れる者は尚更な」
「フッ、分ったよ。仰せのままに従うぜ、大佐殿」
「はぁ~、オレは、もう軍人じゃ無えっての」
「しかし……どう迎え撃つ、ジム」
レナードの問いにジムは肩をすくめる。
「ともかく、いつ奴らが襲って来るか分から無え。町中を回って皆を叩き起こして、女子供は教会へ避難。男共は銃を手に持って待機って所か。オーウェンの旦那」
「分った、
「うむ、そういう事なら、ワシらがニーリーの盗賊共から奪った物が有る。確かカービン銃が二十五挺、リボルバーが三十三挺有った筈だ。そいつを使え」
ジムも頷き同意する。
「そうか、恩に着る」
「だがオーウェン、弾薬はさほど無い。トマスに至急送ってくれる様、頼んでは居たのだがな……」
「昨日中にトマスがヌーグに着いたとして、荷馬車だと此処まで一日掛かる。早くても、届くのは今日の夜か明日の昼頃か……。それ迄、奴等の襲撃が無い事を祈りたいところだな。それにだ、銃が有ったとして、
「うむ、その事だが、ワシに少々策が有る」
さっそく、昨日錬成した物が役立つ事に成るとはな。
そうそう後手に回ってばかりはいられんさ。
「で、旦那、その策ってのは?」
「フッ、なに、ワシらにはゲティスバーグの炎龍殿が付いておる。ならば、火責めが良かろう♪」
「だ、旦那ぁ……」
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