第139話 スズメの見たモノ、二羽目と三羽目

さっきと同様、二羽目の額に額を合わせ、魔力を同調させる。

眼下に広がる荒野が見える。


その何もない荒野の真ん中に、何やら柵に囲まれた所がある。

少し、高度が下がる。


いや……アレは柵では無い。

レンガ作りの塀だ……と言う事は。

「コイツは南西の廃砦へ向かわせた奴だな」


砦と言っても随分、簡素な物だ。

何も無い荒野の一角をただ塀で囲ってあるだけの物に見える。

その塀も、所々崩れておる。

アレは、大砲の砲撃を受けた跡か。


そして、その塀に囲まれた中には、レンガ造りの建物が一つと、上空からも朽ち果てておるのが分る木造の建物が三つ。

やはり、人影が無い。

ワシならば、塀の崩れた個所に見張りを立たせるところだが誰も居らん。


「どうやら、廃砦もハズレの様だ……と成れば……」

「南東の牧場跡って事か、旦那」


「うむ、だが一応確認しておこう。丁度、最後の一羽も戻って来た」

最後の一羽が、上空で一度旋回した後、「チュン!」と舞い降りる。

さっそく、駆け寄り額を合わす。


やはり、眼下に広がる荒野。

暫く、赤い大地を見下ろし飛行する。

徐々に、その大地の色が緑色に代わって来る。

此処からは牧草地らしい。

点々と朽ち果てた柵が見える。


更に進むと、幾つか木造の建物が建っておる。

アレは恐らく厩舎か。

だが、これも屋根が一部崩れ、大きな穴が開いておる。

他にも、幾つか小屋が有るが、似た様な物だな。


だが、その厩舎の隣に建つ屋敷は、健在の様だ。

それと、牧草地の柵と違い、屋敷や厩舎のある敷地を囲う板塀も朽ちてはおらん。


そして、肝心の人影は……フッ、居た。

敷地の入り口に柵状の門扉が有り、その前に見張りが二人立ってる。

他にも、敷地内を巡回しておるのが数人。

屋敷の中にも、人の気配がある。


どうやら……。

「ジム、決まりだ。南東へ向かうぞ」

「分ったぜ、旦那」



目的地より大分手前で馬を降りる。

馬なんぞに乗ってのこのこと近付けば、目立ってしまうからな。

少し距離が有るが、此処からは歩いて向かう。



そして遠目に、敷地を囲う板塀が見えて来た。

ジムと近くの岩陰に身を潜める。


「それで旦那、どう攻める?」

「そうだな……先ずは、あの門番をしてる見張りを始末して、門を開けて忍び込む。それから……」


「おいおい旦那、そんなことすりゃ目立つんじゃ無えのか?」

「ん、なら、あの板塀を飛び越えるか?だが、あの板塀は結構な高さがある。いかにお前さんが身軽とは言え、あの高さを飛び越えるのは、ちと難しかろう。まあ、いつぞや見たく、お前さんを抱えて飛び越える事も出来るが……どうする?」


「ああ……門からって事で頼むぜ、旦那」

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