第91話 エンプレス・ゴブリンとは?
「ジム、スマンがそのエンプレスと言うのは?」
「ああ、この前も話したが、ゴブリンってのは普通、
成るほど……。
「随分と危険な相手と見える」
「ああ、そうさ。だが、エンプレスが居るとなりゃ、さすがに砦が動か無い訳には、行かねえだろ、レナード?」
だが、レナードは首を横に振る。
「いや動か無えよ。我が敬愛してやまない中佐殿はな」
「どう云うこった?」
レナードの代わりにオーウェンが答える。
「エンプレスが居る証拠を見せろとさ。ゴブリンなんぞに手痛くやられて、命からがら帰って来た様な、三流のガンスリンガーの話など当てに成らんだとさ。兵を動かすにはそれ成りの証拠が必要だと抜かしおった!有るかそんなもん!」
「俺からも、あのハゲ……もとい、中佐殿に進言したが、ありゃ全く動く気が無えな。フッ、誰ぞに鼻薬でも嗅がされてんじゃねえか♪」
「ヘルマス一家の奴等にか……有り得るな」
ほう、レナードもオーウェンも、それと無く感付いておる様だな。
「成らば、ゴブリン共が攻めて来たらどうする?」
「その場合は、またこの間の様に立て籠もるしかあるまい。その時は、アンタとジムにも、避難誘導を頼みたい」
「うむ、承知した」
「ああ、良いぜ」
無理やりにでも、そのゴブリンの巣とやらの場所を聞き出して、ワシが魔法で焼き払うのが一番手っ取り早いのだが……致し方あるまい。
未だ、ワシの魔法は人前に晒したくは無いからな。
それに、無理に聞き出そうとして、彼らに不審に思われるのも得策では無い。
一通りの話を済ませ、自警団事務所を後にする。
この後、ジムはレナードと飲みに行くらしい。
ゴブリンやオーガに散々荒らされた町では有るが、一軒酒場が健在だと云う。
ワシも誘われたが、断わる事にした。
今の内に、準備したい事が有る。
それと、ギルドのガンスリンガー三人も、それぞれ、街に消えていった。
少々、癖のある者達だったが……はてさて、どうなるモノやら……。
もうそろそろ、日も沈む頃合いだが、街なかは瓦礫を撤去する者、家を修理する者、次の襲撃に備えて補強する者。
人々はそれぞれの作業に
だが、思う所は一つなのだろう。
以前の平和な町を取り戻そうとな。
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