第164話 【ジム、潜入】 チッ、しくじったぜ!

つまりは、あの小男のつまら無えメンツの為って事か……そう言えば、旦那がそう言い当ててたが、成るほどそう言うことか。


さて、コイツ等の馬鹿話は、もう十分だ。

サッサと、片付けて、バーニーを助け出して、ジェシーの元に返してやんねえとな。


腰のコルトに手を掛け、撃鉄をそっと引く。

カチャリ。

小さなその音が、轟音に聞こえる。


まさか、今の聞かれちゃい無えだろな……。

ヤツ等に気付いた様な反応は無い。


一気に五人全員ぶち抜いてやるぜ。

だが、それでも順番は有る。

先ずは、あのジャコビーって野郎だ。

旦那も言ってたが、ヤツは間違い無く凄腕だ。

ほんの一瞬の隙が命取りに成る。

だから、一番最初にヤツの脳天をぶち抜く必要が有る。


残りの四人は、正直、どいつからでも構わ無えが……ヘルマス親子を始末してから、後ろの手下をるか。


んじゃぁ、とっととケリを付けさせてもらうぜ!


コルトを抜きながら、ソファーの後ろから頭を出した刹那、目の前のサイドボードの上に置かれた鏡越しに、陰気な顔付きの男と一瞬目が合う。


「野郎!」

ジャコビーがそう叫ぶと、手にしていた馬鹿デカいコルト・ウォーカーの銃口を向け、ぶっ放して来る。

ドゴーン!


反撃する間も無く、一旦ソファーの後ろに身を隠す。

チッ、しくじったぜ!

鏡に映った姿を見られて、旦那の魔法が破られた!


ドゴーン!


更に一発、盾にしたソファーにデカい風穴を開ける。

当たりはし無えが、当たりゃあひとたまりも無え。

ヤツの銃は魔銃って分けじゃ無さそうだが、コルト・ウォーカーは大型のシリンダーに60グレーンもの火薬を詰めて、44口径の弾をぶっ放す。

魔銃かどうかなんて関係無え。


「ど、ど、どうしたんですか、イキナリ銃なんかぶっ放して、ゴダードさん!?」

「どうしたも、こうしたも無ぇ!そこのソファーの後ろに炎龍の野郎が!」


ドゴーン!

更に、ヤツの放った弾丸が鼻先をかすめる。


「え、炎龍ですと!?じゃ、じゃあさっきから騒ぎを起こしていたのは…………まったく、ホバートの野郎、大口叩いておいてヤツが後を付けられたって事ですか!」

別にホバートの野郎を付けたって分けじゃ無えが、そんな事はどうでも良いぜ。

それより、この状況、どうやってひっくり返す?


「貸しなさい!」

ガッシャッ!

レバーアクションをコッキングする音だ。

「え、炎龍さん。そこに居るなら銃を捨てて大人しく出てきてください。さもないと、可愛い甥御さんがどうなるか、分っているでしょうね!」

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