第152話 【ドウマ、陽動】 戦闘開始

ヤツ等はさっき迄とは打って変わって、統率の取れた動きで行軍する。

それも、出来る限り物陰から離れ、隠身かくりみを解いた死体にも近付こうともせん。


さすがにれ以上一人づつ始末していくのは、難しいか。

だが、まあ、同じ事だ。

何しろ、ヤツ等はワシの誘いに乗って来てくれたのだからな。


さて、後は手筈通り、厩舎まで導くだけだ。

そして、その後は……フッ、派手にやらせて貰うさ。


更に、ヤツ等を導く様に、次の死体、そしてまた次の死体と隠身かくりみを解除していく。

屋敷からも離れ、厩舎は目の前だ。


恐らく、ジムはもう中に潜入しておるだろう。

上手くやってくれよ。

その代わり、お前さんの兄のかたきはワシが討つ。


厩舎の梁に吊った死体の隠身かくりみを解いて、厩舎から離れ、その左手に有る納屋の後ろに身を隠す。


程無く、ヤツ等の隊列がやって来る。

そして奴等は、厩舎の入り口に向かって銃口を向ける。

「さあ、わざわざ誘いに乗って出て来て上げましたよ!何者かは知りませんが、そろそろ顔を見せたらどうです!こそこそ、隠れて人の命を狙うだなんて、卑怯じゃ有りませんか!正々堂々と、お相手して差し上げますよ!」


フッ、何とも、年端もいかん子供をさらった男の言葉とも思えんな。

まあ、そんな相手に正々堂々と戦う気も無い、それに未だ敵の数も多い。


ヤツら相手に、不覚を取るとも思えんが、一人でも取り逃して屋敷に走られると、人質のバーニーの身に危険が及ぶかもしれん。

あともう暫し、隠身かくりみを解かん方が無難だな。


スリングショットを取り出し、鉛玉をつがえる。

魔弾の効果は、まだ四発分残って居る。

つまり、必中する鉛玉が四発。

此れだけ有れば、申し分あるまい。


狙いをホバートに合わせる。

いつもの如く、先ずは頭を叩く……いや待てよ、それはマズイかもしれんな。

最初に頭を叩いてしまえば、その手下共は統率から解かれ、散り散りに逃げ出すかもしれん。

そうなれば、取りこぼしが出る恐れもある。

已むを得まい、堅実に戦力を削いでいくか。


此処ここは丁度、ヤツ等の側面に成る。

フッ、隊列を組んだヤツ等は、良い的だな。

この無駄に威力のデカい鉛玉なら、何人かまとめて射貫けるだろう。


スリングショットの狙いを、手下共の隊列に変え、躊躇ためらう事無くスリングを解き放つ。


ヒュン!と鉛玉が大気を切り裂き、刹那、居並ぶ内の三つの頭が赤くはじける。

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