第178話 戦さ場の後始末

「お前が魔弾で吹き飛ばした女帝エンプレスの事だ。何処どこ如何どう探しても、ヤツの魔力結晶が見つからん。手分けして、相当広範囲に探したんだがな……」


そこへ、半笑いのレナードがやって来る。

「そりゃそうだろうぜ。女帝エンプレスと言っても、ゴブリンはゴブリン。腹ん中に有る魔力結晶の純度は、そう高く無ぇ、相当脆い筈だ。お前のぶっ放した大砲で、魔力結晶も女帝エンプレスの上半身と一緒に砕け散っちまったんだろうさ。あんな常識外れな魔弾なんかでトドメを刺した、お前の自業自得さ♪」


「何だ、残念な知らせってその事か」

「何だジム、もっと悔しがっても良いんだぜ。ゴブリンとは言え、色付きの女帝エンプレスの魔力結晶だぜ、良いカネに成った筈だ」

「アレは別に……」

ジムはそう言いかけて、ワシに視線を向ける。

ワシは、タダ肩をすぼめて視線を返す。


「フッ、アレは別に、如何どうでも良いことさ。女帝ヤツは土の魔法を使ってた。多分、女帝ヤツの魔力結晶の色は黄色だったんだろうぜ。その魔力結晶が砕け散ったってんなら、あそこに畑でも作りゃぁ良いんじゃ無えか。土の魔力が染み込んだ土地なら良い作物ができる筈だぜ」


「ハッハッハ、ソイツは良い。町からは少し離れてはいるが、来年トウモロコシでも植えて見るか。ハッハッハ」

オーウェンは満足そうに笑い、悔しがら無いジムに、レナードは少々悔しがっておる。




その後町民総出で、町の外に無数に転がるゴブリンの死骸を処理する。

むくろから小さな魔力結晶を抉り出し、大きな穴を掘ってそこに、そのむくろを放り込む。

そして原油をかけて火を放ち、灰に成るまで待ってそのまま埋める。

そう言う手順で処理する事が決まった。


なに分、数が多いからな、さすがに放置してコヨーテに処理を任せるとはいかん。

むくろの腐敗が進めば、町に疫病をもたらすかも知れんからな。


皆、疲れ果てて居るが、黙々と作業する。

当然、ワシもジムもそれを手伝う。


そして夕刻、おおむねねのむくろを掘った大穴に放り込み終え、火を放つ。

「はぁ~、さすがに疲れたぜ~」

そうジムがため息をいた所へ、ケニーが近付く。

「ジムさん、ドウマさん、助かりました。あとは自警団おれたちが火の番をしますんで」


「はぁ~……だ、そうだぜ、旦那♪」

「うむ、ならば、お言葉に甘えよう」

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