第5話 告白

「タケル!」


制服採寸日、駅に早めに着いた僕は、Youtubeを見ながら時間を潰していた。

幼馴染のほたるは、珍しくヒラヒラの服を来てやってきた。


「珍しい、どうしたの?」


中学時代はセーラー服かバレーボールのジャージというスタイルばかりだった。小学校の時も、いつも運動着か、という印象しかない。


「ほたるさんも、やればできる子って感じ?」


ふざけた返答をしてきたが、


「やればできる子だね」


適当に返答しておいた。


「めっずらし~!タケルがシカトせずにそういう返しするって!!」


僕は、ほたるには今のうちに伝えておいた方がいいだろう、協力してくれるかもしれないし、と思いおずおずと話し出した。


「実はさ、高校からはキャラ変しようかな、と思ってて。少し明るいキャラに」


ほたるには、意外だったようだ。ちょっとビックリしたような顔をして「まぁ、いいんじゃない」とつぶやいた。


てっきり「協力する!」と話に乗ってくるかと思っていたから、つぶやいて終わるとは拍子抜けだった。


採寸してくれるお店は、高校の近くにあり、僕たちは電車で向かった。車内では特に話すわけでもなく、お互いスマホを触っていた。


採寸を終え帰りの車内で、ほたるが話しかけられた。


「部長!」


中学の時の部活の後輩のようだ。


「わ~!イメージ違う!!部長、いつもジャージってイメージだったから!!」


やっぱりそうだろ、とスマホを触りながら会話を盗み聞きする。


「ちかちゃん、元気~?!久しぶりだね!みんな頑張ってる?」


相手するほたるは、完全に先輩顔。

うん、頑張ってますよ、先輩も高校に行ってもバレーボール続けるんですか?そんな会話が続き、僕たちが降りる駅についた。


「じゃ、またね、みんなによろしくね」


ほたるは後輩に手を振りながら、僕たちは電車から降りた。


「高校に入ってもバレーボール部に入るの?」


「うん、そのつもり。他にやることないし。タケルはピアノ続けるんでしょ?」


「合格発表の翌日、レッスン行ってきた」


「早いね、先生に会いたかったんでしょ?」


「なにそれ」


ピアノのレッスンのことや、コンクールでのことをほたるに相談したことはあったけど、そんな風に思われてるのか、とふいをつかれた。


「タケルさ、私と付き合わない?」


もっとふいをつかれた。

僕と顔を合わせたくないのか、地面を見ながらほたるは話し続ける。


「いつまでもさ、先生、先生って言ってても仕方ないじゃん」


「…」


僕の印象ってそんな感じなのか。


「キャラ変するのも協力するから。私と一緒にいたら、クラス違っても明るいキャラだって思われるかもしれないし。とりあえず、入学式は一緒に行こ。またLINEするから」


僕の返事を聞くことなく、ほたるは自宅の方向へ走っていった。


これってコクハク…

青い春?


僕は人生で始めて告白というものをされたことに完全に戸惑って、道端でフリーズしていた。

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