第22話 カフェスペース
講習2日目。
朝ごはんの時間は、ゲストハウス1階の共用スペースがカフェに変身し、ワンコインでドリップコーヒー付きのワンプレート朝食が食べられた。
「ここの食パン、美味しいでしょ、近くの老舗のパン屋から買ってるんだよ」
隣の女性が教えてくれた。
「すごい美味しいから昨日お店に買いにいったら、既に売り切れだったの。みんな朝から並んで買うんだけど、このゲストハウスのオーナーがパン屋さんと古い付き合いで、特別に運んでもらってるんだって」
「そうなんですか」
食パンは厚みがあり、ふわっとしている。バターをつけて食べてみると、なるほど美味しい。耳の部分にも味わいがある。
「あ、失敗!!クマちゃんが~キツネに~~!」
キッチンスペースから声がする。
「ラテアート、失敗したんだ!」
「昨日も失敗してなかった?」
「諦めて、明日はドリップコーヒーにした方がいいかもね」
数名の男女が、そんな話をしているのを聞きながら、こんな世界があるんだな~と思ってた。
彼らにこれといった共通点はない。
一人の男性はスーツ姿でこれから出勤かな?とも思えるし、もう一人はヘアバンドを巻いて身支度より先に朝食を食べにきたと思われる女性、さらに大学生らしい男性など、きっとさまざまなバッググラウンドを持っている。
そんな僕も、ピアノの講習に来ているんだから、また違うバッググラウンドを持っていると言えるのだろう。
講習会場まで歩いてすぐだけど、そろそろ出発しなければ。
使い終わったお皿とカップをキッチンで洗ってから、カウンターの男性に「いってきます」と挨拶をしてからゲストハウスを出た。
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