第17話 最年少受講者

「如月タオくんですね」

「はい」


会場に元気よく現れたのは、タオくんだった。

中学2年。今回の、最年少受講者だ。


「あ、如月くんも来たね、YouTuberとしても有名人!」


楠木さんが興味ありげに話してくる。


タオくんは、自分の椅子を探しながら歩いてくる。


「え?!タケルくん?!」


僕に気付いたタオくんは、パタパタと小走りでやってきて


「良かった~!タケルくんも参加するんだ!!僕、知らない人ばっかりですっごく不安だったんだよ!!」

僕の手を握り、ぶんぶん振ってくる。


「う…うん、僕も…」

「僕の椅子…あ、斜め後ろだ!良かった~~!タケルくんと近い~~!!分からないところがあったら教えてね。ごはんも一緒に食べようね」


横にいた楠木さんは、タオくんの様子を見て笑顔になった。


「YouTubeライブのまんまなんだね」

「え?」


「僕、楠木くすのき 光春 みつはるって言います。タオくんって呼んでいい?君のYouTube、チャンネル登録してるよ」

「わ~!ありがとうございます!!楠木さん、名前知ってます。よくコンクール結果の上位で見るから」

「有名人に知ってるって言われると、変な感じだね。で、中路くんとは知り合いなの?」


楠木さんは、タオくんと僕を見て聞いた。


「はい、タケルくんは小さい頃同じピアノ教室で、連弾も一緒にしてたりして」

「タオくんのイキイキとした演奏、好きでね。この講習会で会えて嬉しいな。仲良くしてね」

「僕の方こそ。よろしくお願いします!」


僕たち3人が盛り上がっているうちに、受講者がどんどん集まってくる。

楠木さんは、すごい人なのに僕なんかにも話しかけてくれていい人そうだ。タオくんも一緒だし、心強い。


講習会、頑張ろう…!

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