第16話 付き合ってるんだよね?

高校生活が始まってGWに入る前。

ほたるはバレーボール部への入部を決め、夕方は部活になった。朝活はGW明けから始まるらしい。


「タケルと学校に一緒に行けるのも、今日までか」


僕は電車の中でスマホを見ながら答えた。


「部活がない時はLINEしてよ」


「分かってる。なんか、全然いつもと変わんないって感じだね?」


「部活がない曜日ってあるの?」


「水曜と、金曜かな、でもまだよく分かんない。まぁ、どうせタケルは一緒にいてもイヤホンでYoutubeばっかなわけだけど」


「うーん、曲の研究が足りないって言われて」


「はるか先生に?」


「練習するより研究しろって」


「なんだかすごい世界なのね、高校生に研究しろって」


研究しろっていうのは、中学の時から言われてた。でも今回は


『圧倒的に曲の理解が浅い!!研究が足りない!大作曲家で大ピアニストのラフマニノフを舐めるな!!!」


とちょっと怒られてしまったのだ。

怒られるといっても、はるか先生の場合は厳しくというより、ラフマニノフという人物を引きあいに出して、僕にハッパをかける感じだ。


「私たち、付き合ってるんだよね?」


「え?」


先生に言われたことを思い出していたから、最初、何を言われているのか理解できなかった。


「一応、そのつもりだけど」


しどろもどろで答えた。


「なら、いいけど」


そこから、ほたるはスマホをいじりだして会話が途切れた。


駅で別れて一人になってから、何かまずいことを言っただろうかと考えた。付き合うことにはしたけど、別に僕たちのこれまでの関係が変わるわけではないと思っていたけど。

学校への行き帰り、一緒に行動するだけでは駄目だったんだろうか。


だって、ほたるは幼馴染だしな。


いきなり変わるなんて、無理なんじゃないだろうか。

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