第36話 全国大会ースケルツォ

第3楽章はScherzoスケルツォ

はるか先生と東京に来る直前のレッスンまで詰めた曲だ。

正直、Scherzoスケルツォはあまり得意ではない。

冒頭の音の重なりが明快な4オクターブに渡る下降かこう、そして和音の刻み。シンプルすぎて、初見でもすぐ弾けるけど、Scherzoおどけた感じって何?といつも自問自答。

Scherzoが分からないという僕に、はるか先生が直前のレッスンで言った言葉。


「自問自答しながら弾くのが正解かもしれないよ」


捉えようのない感じ。

いつも、どんな風に弾けるだろう?と試すような。


中間部となるTrioトリオは、まるで農民の踊りのような部分。メロディーが印象的だけど、僕が好きなのは左手のオクターブの動き。

収穫の時を迎えてウキウキしだす人々。

せわしなく働く姿が目に見えるようなーーー

意外とこの部分はすぐに感覚が掴めて、安心して演奏が出来る。


Scherzo da capo.スケルツォに戻る


「人生もきっと一緒よ。いつも、これでいいのかな、って思いながら進んでる」


先生も?

先生も迷いながら生きてる?


「迷いながら…でも、今こうやってタケルくんと楽しくピアノ弾いてる。

それは、とても楽しくて幸せなこと」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る