第21話 デートの約束と

毎年、ゴールデンウィーク初日の弾きあい会を終えて、それ以降はダラダラ過ごすことが多い。

リビングでぐうたらとYoutubeを見ていたら、階段をドカドカと降りてくる足音が聞こえた。


うぜーな。


「毅!あんた少しは静かに歩けないの?」


「おー男子高校生がいるんだぜ、母さんもそれくらい理解しろよ」


「口ばっかり達者で!!」


「なんだよタケル、相変わらず休みの日だってのにダラダラしてんのか」


話しもしたくなくて、無視して顔を背ける。


「相変わらず可愛くねーオトウト」


「あんたがそんな態度だからよ、どうにかならないの?」


「いや、そんなムスコだけど、これから彼女とデートだから」


「あんまりガサツだと祐奈ちゃんに振られるわよ」


ホント、よくこんなバカ男と付き合う女がいたもんだ。祐奈ちゃんとかいう彼女とは会ったことがない。高校に入ってから出来た彼女だし、同じクラスになって告白されたんだ~と自慢してたけど、それもほんとかどうか怪しいもんだ。


あ、そういえば、望美ちゃんも同じ高校だから知ってるのかもしれないな。まぁ、聞いたところでアホらしい話しか出てこなそうだし、恋バナ好きの望美ちゃんが暴走しても面倒だ。


バタバタと毅は家から出ていき、母さんもフラワーアレンジメントのサークルに行くといって出ていった。


ピコン


LINE通知が来た。


「ゴールデンウィーク何してる?遊びに行かない?」


ほたるからだった。


「弾きあい会も終わったからいいよ、明日どう?」


「明日ヒマしてる~新しい折り畳み傘が欲しいの。買い物付き合ってくれる?」


「いいよ、明日、10時に駅でいい?」


「りょ。」


付き合ってくれる?の言葉をもう一度見直した。

付き合うってどういうことだ、いや、明日は買い物に付き合うわけだけど。


陸郎がいう通り、やっぱりちょっとは考えないといけないのかもな。でもな~ほたるのイメージって元気印!って感じで、女らしさとかあんまり感じないというか。

そんなこといったら、はるか先生も細身で可愛い系だけど、上品な言葉遣いかと思いきや、ピアノを聴いて絶叫したり、ちゃんとやれよ!とハッパかけられたり


…なんか可笑しいんだよな、はるか先生。


何してるかな、先生…。ゴールデンウィーク初日は弾きあい会だけど、あとはレッスンが休みだ。デートとかしてるのかな。


きっと僕の知らない世界が先生にはある。ハッキリ年齢は聞けないけど、たぶん35歳くらいじゃないか。独身だけど、きっと彼氏がいるんだろう。

ピアノ教室以外で、先生はどんなことをしているんだろう?旅行が趣味とは聞いているけど。もしかしたら、遠出しているかもしれない。


先生…。


いかん、ちょっと体が…自分の部屋に戻ろう、それでエロ画像を…


『試しに彼女を思い浮かべてやってみなよ。付き合っていけば、そのうちそういう関係になるんだし』


陸郎に言われた言葉が不意によみがえった。


ほたる…


………


あれ?


うそっ。


萎えた

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