第4話 お弁当タイム4
「え、タケル、次の英検受けるの?」
今日も、陸郎と弁当を広げる。
「うん、やっぱり受けておこうかなって」
「理系に行くなら、今、無理に取らなくてもよくね?」
「う~ん、2級までは高1の間に取っておきたくなって」
「私もここ、いい?」
ほたるが遅れて弁当を持ってやってきた。
「ほたるちゃん、次の英検受ける?」
「え?ようやく受験終わって入学したばっかりだし、2年からじゃダメかな」
「だよな~タケル、どういう心境の変化?」
ほたるが弁当を広げながら、僕と陸郎を見る。
「一体、どういう話?」
「いや、タケルが次の英検受けるっていうから」
「高校で受けられるやつ?でも、タケル、中学で準2級まで取ってるじゃん」
「うん、だから2級を受けようかと思って」
「…タケル、何かあった?」
ほたるが、弁当のおかずをチェックしながら言う。
「いや、日程みたら次がちょうどいいんだ。1月はコンクールもないし、2次試験の日程も本選が終わった後だから」
「ふーん。1月はコンクールないんだ。で、2次試験って2月だよね、本選があるの?」
「うん、12月の予選が通過できれば」
「なんか、忙しいね。講習から帰ってきたばっかりなのに」
僕とほたるの会話を、陸郎は珍しく黙って聞いている。
少しギスギスとした空気が流れるのを感じていた。
耐えきれなくなったのだろう、陸郎が口を開く。
「あ、でもさ、12月の予選ってピアノの先生来れないんだろ?ほたるちゃん、応援に行ってやったら?」
「…タケル…日程、いつ?」
「12月の1週目の日曜」
「分かった。予定開けとく」
ほたるは、渋々…といった感じで返事をする。
多分、行きたくないんじゃないかな、これまでだって、ほたるは僕のピアノ関連のイベントに来たことはない。
高校に入ってすぐ、付き合いだした頃は『予選聴きにいこうかな』と話したことがあったけど、その後はやっぱり来る気配すらなかった。
「良かったな、タケル。俺は遠慮しとくからさ、ほたるちゃん、しっかりタケルの応援してやってよ」
なんだか、この流れが良いものなのかどうか分からず、僕とほたるの間で妙な空気が流れていた。
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