第23話 ライブ
長いゴールデンウィークも明け、ほたるは部活が本格的に始まったので、僕は一人で帰ることになった。
電車に乗り、そういえば汰央くんのYoutube、最近チェックしてないなと思い立ち、新しい動画が出てるかスマホを開いた。
「はぁ?」
そこには大量の動画がアップされていた。でも、どれも聴いたことのある曲ばかり。そう、これまで撮りためていた小さい頃からの演奏動画をアップしているようだ。幼児の頃のものまである。
動画数が増えたからか、チャンネル登録者の500人を超えていた。
「いったい、いつの間に…」
チャンネルの概要をみたら「Tiktoo始めました!」と書かれてある。Youtubeだけでは飽き足らず、Tiktooまで。
興味本位で覗いてみたら、ちょうどライブをしていた。ピアノ演奏でもするのかと思いきや、ピアノの前に座り、ライブでコメントが来ているものに返答する形だった。
「えーと、いつからピアノを始めましたか?4歳からです。お母さんに連れられて、車で10分くらいのところにあるピアノ教室に行きました。前のレッスン時間のお兄ちゃんが、ショパンのワルツを弾いていたのにビックリして、僕もお兄ちゃんみたいに弾けるようになりたいと習いはじめました」
以前、教室に通っていた生徒のことだな。上手だったから覚えてる。
「彼女はいますか?残念ながらいませ~ん。でも好きな人ならいますよ、え、教えてって?内緒ですよ、そんなの」
「今練習している曲は何ですか?バルトークと、ショパンのエチュードの黒鍵やってます」
ライブだけど、そこそこ質問はきているらしく、盛況だった。
「あ、そろそろ20分になりますね。このくらいで今日は止めます。話すネタがなくなってもよくないんで。またライブするから、きてね!」
「ばいばーい」
「タオくん、またね~」
「新しい曲聴きたい~!」
たくさんコメントが書き込まれる。
これって、ちょっとしたアイドル並みなんじゃ…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます