第13話 上機嫌な幼馴染み

※スピンオフ「運命の女」

不定期連載を開始しました。

よろしければお読みください。

https://kakuyomu.jp/works/1177354055015358262



ほたるご希望のアフォガードと、カフェモカを持ってテーブルに向かうと、ほたるは上機嫌で僕を見た。


「やった!写真まんまのアフォガード!!」

「ほんとだね」

「時々、写真と実物が違うやつがあるじゃん、あれってガッカリするよね」

「…確かに」


結果発表まで1時間半くらいあるから、僕たちは、ほたるご要望のホール横のカフェにやってきていた。


「タケル、お腹空いてないの?」

「うん、なんか気が気じゃなくて」

「そう?」


僕は演奏と緊張疲れもあって、少し甘いものが飲みたくなって、カフェモカをチョイス。

予選通過はできるかな、と甘い考えを持っていたけど、数年前に受けた時よりレベルは遥かに高くなっていたようで、通過できるかどうか微妙だ。


「美味しい~~~!」

ほたるが美味しそうにアフォガードを食べているのに癒される。

「良かったね」


あまりに美味しそうに食べるのが、ほたるらしいな。


「…久しぶりにみた…タケルの笑顔…」

「え?」

「やっぱり、私たちはこれが正解なんだね。幼馴染み、っていう関係」


ここの所ほたるを見るたびに、どこかオドオドしていた。

それが伝わっていたのだろう。


彼女、という存在に、どう接していいか分からなかったり、何かあるごとに、はるか先生だったら、と考えてしまったり。


「私、これでホントに吹っ切れた気がする。タケルのピアノも、応援してもいいかな~なんて!」

「ごめん…僕、付き合うってよく分かってなかった」

「そりゃ、私もだよ。でも、分かったから良かったんだよ。私たちは『幼馴染み』が正解」

「うん…」


ほたるは、アフォガードを豪快に食べ始めた。


「予選通過できたら、本選なの?」

「いや、次は全国大会」

「通過できてるといいね」

「…うん」


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