第119話 不調の予兆

 騎士団からの帰り道、立ち寄った食堂でお昼ご飯を食べながら、私はなんだか変な感覚を持っていた。

 何がどうとはハッキリとはわからないが、ともかく調子が悪いのは確かだ。この食事で、いつもなら完食できるものが、少し残してしまったのだ。

「ごちそうさま」

「ん? リリカ大丈夫かえ? 残してしもうておるが」

「うん、食欲が無いの」

 私の返答で、ゼスはずいぶんと心配そうな顔で私を覗き込んできた。私の額に左手の平を当てて、熱が無いか確かめてきたのだ。

「うむ、熱は無さそうじゃが。ともかく今日の所は早く休むが良いぞ」

「そうね。ちょっと早めに休息を取るわ」


 食堂を後にして、西棟に帰ってきた。この時点で、やはり何か調子がおかしい事がハッキリとしてきた。

 もしや……。

「じゃあ、早めに休むから、ゼスも休んでいて」

 実はこれが不調の初期段階だったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る